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2010-11-09

Other World 第07話


◎ オメガ

「イプシロン!」
雄介は左手のドラゴンナックルでイプシロンの右頬を殴った。
「なに!?」
すかさず、雄介は切りつけた。
「くそっ調子にのるな! マジックショット!」
「ミラーシルド!」
イプシロンの放った魔力の玉は雄介を守った銀色の盾に跳ね返されイプシロンを強襲した。
「クレア!」
「クソ! 伝説の英雄がこのざまか! 切り裂いてやる! 魔法剣!」
「ポテンシャルヒート!」
「風雷斬!」
雄介の刀はイプシロンの身体を切り裂いた。
「さんきゅ、クルジェ!」
「あのまま、幸せな夢を見ていればよかったものを……」
「あいつまだ生きてるのか?」
「俺は神だ! 力を解放してやる。この空間がなくなろうと関係ない。いくらでも世界はつくれるわ!」
 イプシロンの全身が強い光を放った。光が消えたイプシロンを見ると鎧に身を包んでいた。黒い鈍く光る甲冑に身を包み龍のような羽が八枚ついていた。手には自分の身長ほどの剣を二本持っていた。
「消えろ……」
 イプシロンは左手の剣を振りおろすとジェノヴァとはくらべものにならないほどの強力な衝撃波を生み出した。
衝撃波は空間を裂きながら雄介めがけて飛んできた。
雄介はそれを避けて間髪いれずに反撃した。
「弱すぎる……」
雄介のは甲冑を切りつけたが、刀が砕けた。
「!?」
その刀はファントムが入ってこそ名刀になる。やつがいない刀はガラクタ当然だ。
「万事休すか……」
「あきらめんな! ここで負けたら世界は救えねぇぞ!」
声の主はクレアだった。
「くそっ、神を倒せるのは神だけか…」
「文献でよんだ事あるんだ、ティアマトを唯一制御できる神がいるんだけど……」
「じゃあ、そいつを召喚しようよ。」
クルジェはクレアの言葉遣いを無視して言った。
「でも、召喚には丸くて薄くてキラキラしたやつが必要なんだ……」
「なんでもいいから応戦してくれ! 攻撃が追いついてきてやがる!」
二人が会話をしている間、雄介は二人に危険がない様にイプシロンの攻撃を回避続けていた。
「クレアさん! それって、これ?」
クルジェの差し出したのは旅の始めに砂漠で拾った円盤だった。
「それだ! クルジェ! えらいぞ! んじゃま、さっそく……神召喚! オメガ!」
クレアは円盤を宙に投げて叫んだ。
「クルジェ! 受け継ぎよろしく!」
「任せて!」
クルジェは必死になってオメガの形を形成しようとするが、上手くいかなかった。
「雄介とやら、ティアマトを止めるつもりだな? あの娘じゃ、我を維持することはできない。雄介、我を纏いティアマトを倒してくれ!」
オメガの声は雄介の頭の中だけに流れてきていた。
強い光は雄介のを包み込み、イプシロンと同じ形で白色の鎧を纏い天使のような八枚羽をつけていた。自分の身長と同じぐらいの西洋に見られる剣をもっていた。
「これで、対等にやれるな」
「死にぞこないが」
激しい攻防を繰り返す神と神。クレアとクルジェは神を召喚して魔力を使い果たし、もうみとどけるしかなかった。
「なぜだ! お前たちの記憶を消して幸せな世界を作ってやったんだ! なぜ戦う?」
「あぁ、確かに幸せだった。でも、心の穴が埋められなかった」
「心の穴?」
「俺は約束したんだ、この世界を平和にするって。そして、心に決めたんだ!クルジェを元の世界に返してやるって!」
雄介の鎧が強く光を発し変形した。全身を包む鎧は胸当てに大きく伸びた肩当、籠手に脛当て。かなり軽量になり羽が十枚になった。
「鎧が変形した」
「これで最後だ……神滅殺斬!」
剣をまっすぐに空に向けてイプシロンに向けて一気に振り下ろした。
衝撃破はイプシロンを真っ二つに切り裂いた。イプシロンの身体は聖なる炎に焼かれ灰になった。
「勝った……」
雄介はその場に倒れた。
「雄君!」
「雄介君!」
駆け寄るクルジェとクレア。
「安心しろ、雄介は死なせはしない」
「オメガさん?」
「さよう。主らには大変世話になった。イプシロンとティアマトが迷惑をかけた」
「いや、いいですよ。私たちはこれのおかげで出会えたのですもの」
「そう言ってもらうとありがたい。さて、君たちを元の世界に返すとするか」
「またここに来ることは出来ますか?」
「無理じゃな。主らを送ったあとに空間のゲートを破壊する。彼の力を借りて……さて、雄介の中に入るかな。」
「入るの?」
「あぁ、私は生死を扱えんからな。私の命を彼に譲るよ」
オメガがそう言うと雄介の中に入っていった。
「んっ? あぁ、? あー、おあよー」
「雄君!」
「勝ったのか?」
「うん。ありがとう。これで帰れるわ!」
「あのさ、クルジェ……」
「なぁに……」
「俺……」
「好きだよ……私は雄君が好きだったの……でもね、ここでさよならよ…」
「あぁ、わかってる。君には君の世界があるし、俺には俺の世界があるんだ」
「若いっていいわねぇ」
「くっ、クレアさん!」
雄介とクルジェは同時に言った。
「私も帰って新しい恋でも探すかな!じゃあね、雄介君!クルジェちゃん!」
クレアはそう言って、来たときに見た門を通って扉の向こうに消えていった。
「じゃあ、私も行くね!」
「あぁ、気をつけて……」
「うん、私の事忘れないでね……」
クルジェは門の向こうに消えていった。
雄介は涙を流していたが本人は気がついていなかった。
「さて、仕事をするか…」
……
雄介は門を破壊して自分の世界に帰っていった。

◎ それから……

「クレア……やり直さないか?」
「嫌よ」
「はっ? えっ? でも、おまえあんなに泣いてたのに……」
「アンタみたいなクズ男につくしていたなんてバカみたい。さよなら!」
私は、そう言って新しい恋を探して夜の町に消えていった。

私は、自分の世界に帰った後に、雄介の破壊した扉の修復をした。
来る日も来る日も修復していった。友達は何やってるの?って笑っていたが気にせずに作業を続けた。やっぱり、雄介君が好きだから雄介君の世界に行くために……

俺が帰った時は然程時間が経っていなかった。
まだ、みんなが混乱していた。そんなこんなでその日が終わった。
一年後…
「なんか、最近五代頑張ってるよな?」
「あぁ、もう少しマシな未来を探してみようと思ってな」
「マシな未来ねぇ」
あの日を堺に頭がさえており、必要以上に知識が流れて来た。
おかげで、東大確実まで学力があがった。担任は信じないぞなんて言っていたが、事実なので仕方がない。これも、神の力か?
その日の放課後、科学室で論文を書いていた。
かなり頭がよくなり世界を相手に対等に渡りあえるようになった。
論文のタイトルは『平行世界の証明』だ。
これを提出すれば世界中のじじいどもがひっくりかえるだろう。
そんなことを考えながら論文を書いていた。
その時、部屋が暗くなった。
目の前には見たことのある門があった。
扉がゆっくり開くと中から女の子がでてきた。
女の子は黒髪で肩まで髪は伸びていた。
一瞬誰だかわからなかった…
「クル?」
「雄君……」
僕らは――

Fin
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2010-11-08

Other World 第06話

◎ディアボロ

三人は一息つくと祠にある霊石アルマダを取った。
マリア・マクスウェル同様に霊石から人が現れた。
「我が名はディアボロ。主らが神殺しをするものか?」
「神殺しって人聞きのわるいなぁ」
「事実そうだろう。で、我になんのようだ?」
「いやぁ~マクスからほとんどのこと聞いたからな、特に聞くことはないなぁ」
雄介がそう言ったとたんにクルジェとクレアのカバンが光だし勝手に霊石クロム・アクバルが飛び出しマクスウェルとマリアが現れた。
「久しいな、マクス、マリア」
「あぁ、ディア。剣のありかはわかるか?」
「先に剣を手に入れないと大変なことになるわ」
「あの剣には神の力が凝縮されている。神を復活させなくても神に近い力を得ることができる。どうしても避けなければならない」
「残念だが、神剣はジェノヴァが所持している」
「質問よろしいですか?」
雄介は恐る恐る聞いた。
「なんだ?」
「神剣と霊石の違いは?」
「神剣は神そのものを封印した。私たちは、その封印を解くための鍵にすぎない。しかし、霊石を所持していれば異常な魔力が流れてくる。私たちの力が封印しきれてなく無限に魔力を噴き出している」
「なるほど。ところで、ジェノヴァの居場所はわかるか?」
「我は剣の場所を知ることが出来る。言い方をかえればジェノヴァの居場所もわかるってことだ」
「で、ジェノヴァの居場所は?」
「あせらなくてもいいわよ。私たちが直接転送するわ。まずは体力の回復をしましょう。癒しの風、癒しの雨」
急にそよ風が吹き、雨が降った。三人の体力も一気に回復した。
「我は雄介に神殺しの奥義を授ける。時が来れば必ずつかえる」
「では、三人とも準備はいいかな? ジェノヴァに一瞬でも隙を与えれば神は復活する」
三人は互いに見つめあい無言で意を決した。
「ワープ・ロード!」
マクスウェルがそう言うと霊石は光をうしない霊石の三人は消えた。
雄介達もその場から姿を消した。

◎ジェノヴァ

雄介たち三人がついた場所は部屋だった。
「ようこそ、我が城へ、異世界の騎士たちよ。私がジェノヴァだ」
ジェノヴァは、高貴な衣装を身にまとい右手にはしっかりと神剣をもっていた。
「霊石を譲っていただきたい。そうすれば、貴方たちは元の世界に帰しましょう」
「そいつは無理な相談だな」
 「なぜです?」
 「お前が神を蘇らせ世界を支配するつもりだろう」
 「なんの事だかさっぱりですな。私は、私の親友でありライバルである男を殺すために力が欲しいだけですよ。世界に興味はありませんなぁ」
 「うそをついちゃだめですよ」
 「うそではありませんよ。あなた方はなにか勘違いしていらっしゃる。私が用があるのは雄介君の持っている剣ですよ」
 「!?」
 「いいかげん出てきたらどうですか? ファントム」
 雄介の目の色が金色に変わった。
 「ばれていたか」
 「君のオーラは特有ですから」
 「ごめん。全然理解できない」
 「私がご説明しましょう。雄介君の持っている剣にはファントムと呼ばれる男の魂が封印されているんです。千年前にこの世界では王国と帝国の二つの国が統治していました。幼馴染の私たちは大人になってともに帝国軍に入り統一戦争に出かけました。私たちはみるみる頭角を現して帝国軍の翼とよばれるようになりました。ある日、姫に恋をした私は結婚を前提としたお付き合いをしたいとおもい姫に会いに行ったが彼女の心はファントムに向いていた。また、ファントムも彼女を愛していた。入り込む余地のない私は帝国軍を離反し王国軍につき、帝国軍を壊滅したがどうしてもファントムには勝てなかった。しかし、戦争は王国軍の勝利に終わった。帝国王家一家は、王国で公開処刑となった。無論、姫も殺された。その日から私は賢者になって学問にはげんだ。そして、千年の間生き続けた。ある日、ファントムのオーラを感じるようになった。まさかと思い帝国の文献を調べるとファントムは剣となって生き続けていることを知った。その剣が雄介君のもっている剣です。でも、なぜファントムは剣にもなって生き続けたのですかな?」
 「てめぇを殺すためだ。裏切り者に制裁を与えるのが俺の仕事だ」
 「ジェノヴァは何故賢者になったの?」
 「姫とファントムを生き返らせる為だ。生死の法則を無視できるのは神だけなんですよ。そして、ファントムを倒すことができるのも神だけなんですよ」
 「?」
 「ファントムは、ティアマトの召喚の際に派生した人間……神の子だったんだ」
 「まってください。計算が合わないです。神が召喚されたのは三千年前。ジェノヴァさんたちは千年前にお生まれになっているんですよ」
 「霊石が無限に魔力を放っているのは知っていますね? 二千年かけて集まった魔力の塊がファントムになった。理由はわかりませんが、そう考えるのが妥当なんです」
 「うだうだ、話が長い。俺は、ジェノヴァを殺すために千年間生きてるんだ」
 「そうでしたね。では、最後の三賢者ジェノヴァいざ参る」
 ジェノヴァは剣を構えた。ファントムも同じく構えた。
 彼らは技なしの剣の打ち合いをしていた。芸のない戦いはもっとも美しく華麗だった。
 ジェノヴァが距離を開けた。
 「来る!」
「閃光の一線!」
ジェノヴァが剣を振り下ろすと三日月の形をした衝撃波がファントムを襲う。
 「ネオ・ブレイヴ・シールド」
ファントムは何色とも言えない美しい色の盾を出した。
盾は衝撃波によって砕かれたが衝撃波もかき消した。
「まだまだ! 時雨突き!」
高速で繰り出される突き。それは全て衝撃波になってファントムに向かって飛んできた。ファントムは美しい身のこなしで無数の衝撃波を回避した。
回避しながらファントムは合間をつめた。
 「昇龍閃!」
ファントムは一気に切り上げた。しかし、間一髪で攻撃を受け止めるジェノヴァ。
 「神の力を見せてやる。メテオレイン」
数秒たったがなにも起きなかった。
「ハッタリか? ジェノヴァ……」
バーン!急に爆発音が聞こえた。音のするほうをみると綺麗さっぱり部屋が無くなった。
 「なにが起きたの?」
 「クルジェちゃん。クレアさんと逃げろ!コイツ、隕石を降らせてやがった。空間を裂いて外に繋いでやるからそこから逃げろ!」
 「空破斬!」
 ファントムは空を縦に切った。そこからは城の外が見えていた。
 クレアは先にそこをくぐる。クルジェは心配そうに振り返った。
 ジェノヴァと対峙しているファントムはそんなクルジェに気がついた。
 「心配するな、クルジェちゃん。コイツの身体はちゃんと返すよ。だから行きな!」
 ファントムはそういうと左手を伸ばして親指を立てた。
 クルジェは安心したように切り目をくぐり斬り目は消えた。
 「色男ですね、彼は……それに彼女見た目は似ては無いがどことなく姫の面影を感じますね。姫の新しい器には彼女を使いましょう」
「させねぇよ。コイツと約束したんだ、クルジェちゃんは必ず守ると……」
会話をしている間にほとんど足場が無くなっていた。幸い、クレアが去り際にかけてくれた『フライ』のおかげで飛んでいられているファントム。
 「さて、おしゃべりはやめてけりをつけようじゃないか。」
 「この一撃で決着を決めてやる。」
 …勝負!
 「神の全身全霊の一撃をくらえ!神撃斬!」
 「裏切り者を消してやる…風神斬!」
 光をも上回る速さで剣を交わす。
 「わるいな、俺はこの身体を傷つけるわけにはいかねぇんだ。」
 「くっさすがだな。私の負けだ。ハハ…ハ…」
 「最後の友がとうとう死んでしまった。…俺の任務は終わった。これでようやく成仏できる…」
 雄介の身体から何かが抜けて飛んでいった。
 「ありがとう、ファントム…」
 雄介はつぶやいた。
 急に下の方から物凄い光が放たれた。

◎ 神再び…

「なんだ? この光は? ん? アルマダが光ってる?」
光はどんどん近づいてくる。
気がつけば雄介の目の前に神剣が浮いていた。そのときに既に光を失っていた。
「我が名はティアマト。我の力を返してもらおう」
すると、アルマダが雄介の手から神剣の方へ飛んでいった。数秒後アクバルとクロムが飛んできた。
 「目障りな落ちろ、人間!」
 直接流れてくる声がそういうと雄介は地面に向かって落ちていった。
 「戒めの風!」
 雄介は激突寸前に落下が止まった。
 クレアの魔法に救われたようだ。
 「雄君? 大丈夫? 上で何があったの? ジェノヴァは?」
 「ジェノヴァは死んだ。でも、神が復活した」
 「なんですって! だから、霊石がとんで行ったの?」
 「そのようだ。まずいなぁ」
 「でも、何でかな?」
 「それはのぉ、ジェノヴァが神剣の力を全て解放したからじゃ」
 そこには、この世界に呼び出した老人が立っていた。
 「じ、じじい! なんでここに?」
 
◎ イプシロン

「説明するのは面倒じゃのぉ。そもそも神を復活させたところで制御はできぬ。神はエネルギー…… 魔力の塊だからのぉ、器が…肉体があって初めて真の神になれるのじゃよ」
「そんなことを聞いてるんじゃない! もういい! そうやったらあれを消せるんだ?」
 「消す? 消す必要などない」
 また、頭に声が流れてきた。
 「その通りじゃ、消す必要はない。わしが器となり神となる」
 「なんだって! クソじじい、殺してやる!」
 「時既に遅し!」
 老人は宙に浮いた。そして刀と霊石から光が飛び出して老人の中に入っていった。
 老人は眩い光につつまれた。
 光が消えそこに立っていたのは、青い髪に美形の顔立ちすらっとした長身に上下黒の服に白のロングコートを着ていた。
 「久しぶりだなこの身体は……」
 「あなな、だれよ!」
 「俺の名はイプシロン…… お前たちをこの世界に呼んだものだ……」
 「イプシロン!?」
 「クレアさん知ってるの?」
 「えぇ、古代の文献を読んだんだけど、この世界唯一の英雄イプシロン…… 神の降臨よりもっと前に異常な量のモンスターが現れ世界が破滅しかけた頃に現れた天武の才と強大な魔力を秘めた一人の青年が現れたの……」
 「まさか……」
 「そう、それがあの人、イプシロン……彼が現れ戦況はよくなり世界を救った……」
 「ふっ、まぁそんなとこだ」
「じゃあ、なんでそんなやつがここにいるんだ? じじいは? 神は?」
「じじいと呼んでいたのは俺だ。神の力を得て剣聖と呼ばれたとき……全盛期の歳まで若返り、これから全空間を永遠に支配する。その為には神を蘇らせる必要があった。まえに一度異世界の騎士を召喚したが弱すぎて話にならなかった。しかし、お前たちは強くなってくれた。そして、三賢者は神を蘇らせてくれた。全ては俺の思惑どうりになった。あとはお前たちには死んでもらわないと……末恐ろしい力を秘めている。が、しかしここまで働いてくれたお前たちを殺してしまうのも神道にそむく……元の世界への空間を開いてやる。帰りたまえ異世界の騎士たちよ……」
 「…けんな……」
 「?」
 「ふざけるな! 世界の為にと思っていままで戦ってきたんだ! お前の理不尽な理由で俺たちは何人も殺してきたのかよ!」
 「そうね、そんな奴を支配者にするわけにはいかないわね」
 「やっつけましょう」
 「おろかな……」
 「疾風斬!」
「召喚! ワイルドウルフ!」
「弱い……」
イプシロンはつぶやき右手で雄介とワイルドウルフを蹴散らした。
「お前たちを殺すのは惜しい。記憶を消させてもらおう」
イプシロンは指先で円を描くと三人は倒れた。

◎学校

「いってきます。」
雄介は眠たそうな瞼をこすりながら家を出て行った。
いつもの満員電車に乗り学校に行った。
「おはようございます、雄介先輩!」
「おはよう、絵里ちゃん」
俺は一つ年下の恋人に挨拶をすると手を繋いで駅から学校までの道を歩いていった。
 下駄箱で別れて教室に向かった。
 「よぉ! 今年の新入生ではぶっちぎりで美人の絵里ちゃんとは別れたか!」
 このハイテンションは間違いなく山崎だ。大声言って、俺にプレッシャーをかけてるつもりだろう。
 俺は振り向きざまに後ろから走ってくる山崎の顔面を殴った。
 「な…ナイスパンチ……」
 鼻血を流しながら山崎は倒れた。俺はこいつをほっておいて教室に向かった。
 途中、隣のクラスの女が付き合ってくれって言っていたが、俺には絵里がいるので袖にした。
 授業は聞かなくても解かるし東大首席確実とまで言われていて美人の彼女がいるのに、心のどこかに大きな穴が開いていた。
 確かに絵里は美人で料理も上手でよく気がつくモテモテのせいで男は苦手なんて可愛いとこもある。でも、なにかが違う。理屈じゃわからない。でも違う……
 放課後、俺は科学部の部活をしていた。部員は俺と絵里だけだった。
 二人きりで作業を黙々としていた。絵里は実験を俺は論文を書いていた。
 パソコンで論文を書きながら絵里に実験の指示をしていた。
 俺は心の穴の正体を考えながらキーボードを打っていた。そんなことをしていると打ち間違えた。
 「COOL-J……」
 「雄介先輩~ここからなにをしたらいいんですかぁ~?」
 「クルジェ……」
 「先輩?」
「クルジェ! ごめん絵里ちゃん俺行かなくちゃ!」
「行くって何処にですか?」
「異世界だよ。アイツを殺しに行く!」
俺はペンダントから剣とナックルと出した。
「先輩!」
「ん?」
「なんだか解からないけど頑張ってください……」
「(!絵里って、クルジェに似ている…髪が黒くて眼の色が違うだけでこんなにちがうのか…)あぁ、行ってくるよ絵里ちゃん…」
俺は空間を切り裂き観測の世界に向かった。
2010-11-07

Other World 第05話

◎恋文

雄介はここ一週間うわの空である。ミルクが死んでから、一週間が過ぎた。
「貴公が雄介様ですか? 私はミルク様の執事をしていた者です」
雄介はゆっくりと執事の顔を見た。
「ミルク様の部屋を整理していましたところこれを見つけました」
執事は雄介に手紙と二つの指輪を渡された。
「では、私はこれで失礼いたします」
……
手紙の内容は恋文だった。問答のない恋文だった。
「雄介様、私は貴方が好きでした。私が捕まっているときに、助けてくれた時からずっとすきでした。しかし、貴方の心はクルジェさんに向いてるのを私は知っています。貴方自身は気が付いていないのかもしれませんが、貴方は自然とクルジェさんを目で追っています。それを知っていながら、貴方にこの手紙を渡しました。この手紙を最後に私は貴方のことを絶ち切ります。でもどうか私を忘れないで下さい。死んでしまうより忘れられるほうが怖いのです。私の事を忘れないように指輪を同封します。この指輪はきっと貴方のことを守ってくれます。どうか、無事に旅を続けてください。ミルク・メロディア」
 雄介は、ミルクの死後初めて泣いた。執事から貰った二つの指輪を強く握り締めて泣いた。
 指輪の内側には、YUSUKE、MILK、と彫ってあったが誰も気が付かなかった。

◎ マクスウェル

ミルクが死んで八日が過ぎた。雄介は初めて口を開いた。
「クル、クロムを取りに行こうか?」
クルジェは、クルと呼ばれたことより雄介が口を開いたのが嬉しかった。
「うん、行こう」
雄介とクルジェは銅像の前まで歩いた。その間、雄介はクルジェにずっと謝ってばかりいた。
 雄介は、一息つくと、銅像を登り掲げているクロムを取った。雄介は、すぐに降りた
そして、クレアの到着を待っていた。
 五分もしないうちにクレアはやってきた。
 「おまたせぇ」
 「クレアさん、毎日何をやってるの?」
 「あのねぇ、古文書を読んでいたのよ。」
 「へぇ~で、何か収穫は?」
 「後で話すわ。それよりもまずはマクスウェルさんを」
 「そうだな。じゃあ、クルこれを」
 雄介はクルジェに霊石クロムをクルジェに渡した。クルジェはそれを空に掲げた。すると、クロムは強い光を発した。
 「やっと、私の出番か。よく、見つけたな異界の騎士たちよ。私がマクスウェルだ」
 マクスウェルは自己紹介を終えると、マリア同様に雄介達の記憶を読んだ。
 「神か…まずいな」
 「どうゆうことだ?」
 「三賢者は神を呼び覚まそうとしている」
 「神だって?」
 「ああ。どうゆうワケかは解からないが恐らくそうだろう。ディドロが死に際に言った言葉から推測すると」
 「マジかよ」
 「でも、どうして? 信仰深い人かもしれないよ」
 「三賢者になるものは、そんなことはありえない。奴らは本気だ。ディドロがここに来た理由はたくさんある。まず、霊石クロムの奪取しお前たちの妨害をしに来た。もう一つはここにある私の日記だろう」
 「日記? なんでそんなものを」
 「私はもともと初代賢者だ」
 「なんだって!」
 「でも、なんで日記なの?」
 「私は、三千年前にマリア、ディアボロと共に神を呼び出した。しかし、失敗してしまった。そのせいで、異世界が出来てしまった」
 「まさか……」
 「お前たちの世界だ。神は不完全な形で出てきてしまった。そのために、理性のない怪物となって、暴れまくった。その力は恐ろしく時空を狂わせて、三つの世界を創りこの世界の時間の流れを緩めた。私たちは暴走を阻止するために、戦った。マリアが力を封印し私が動きを封じディアボロが止めを刺した。しかし、神を殺したのではなく力を分散させただけだった。神を殺すことは不可能だ。だから我々はアリアが霊石アクバルに、私は霊石クロムに、ディアボロは霊石アルマダに、そしてディアボロの剣に神剣となった。もし、この四つがそろい、復活の儀をすれば神ティアマトが復活しかねない。復活のやり方を私の日記に書いてある。だから、日記を燃やしてくれ。そして、三賢者より先に霊石と剣を手に入れてくれ。アルマダは北の極寒の地にある。頼んだぞ騎士たちよ」
 マクスウェルはそういい残すと消えた。
 「神…か……」
 「三賢者より先に見つければいいんだよ」
 「そうよ、それにこの日記を燃やしちゃえば阻止できるし」
 「それが、日記か。仕事が速いよクレアさん」
 雄介たちは日記を燃やして眠りについた。

 ◎魔法
 
 雄介たちは北の町を目指して村を旅立った。
 ……
 村を出て一週間、特に何も無い平原を延々と歩いていた。今回は長旅になるのを見越して大量の食料を分けてもらっていたので、三人は元気に北を目指した。途中たくさんのモンスターに遭遇するが、クレアの防御魔法とクルジェの補助魔法、雄介の剣で難なく倒していた。
 さらに、三日が経った。三人は見渡す限りの平原を歩いていた。
 「しかし、こう平原ばかりだとなんか魔法にかかっている気分だな」
 「そうね、いったいどのくらい歩いたのかな?」
 「……」
 「どったのクレアさん。」
 「かすかに魔法の気配がする。ねぇ、クルジェちゃん」
 「言われてみればそうだね」
 クレアは急に立ち上がり弓を引いているポーズをとった。すると、急に光を発する弓矢が出てきた。クレアは、矢を放った。矢はビュッと飛び空中で止まった。すると、爆発音がした。その直後、周りの風景が平原から荒野に変わった。 
「君たちは阿呆だね」
 雄介と同い年ぐらいで少年の面影が残る青年が言った。
格好は、ジーパンに似たでもどこかが違うズボンに黒の長袖のシャツ。その上から雄介と一緒のコートを着ていた。身長は雄介と同じぐらいで顔はかなり綺麗だった。
 「いつ気がつくか魔法をかけたのにこんなに長い間気がつかないなんて、これでほんとにイヴァン様に勝てるのかな?」
 「!」
 「あんた、イヴァンの使い!」
 「大正解。正解者には死をプレゼントしよう」
 青年はそう言って大きく後ろに飛び自分の身長をゆうに越すぐらい長い槍をだした。
 「俺の名前は七尾進。君たちと同じ異界の騎士」
 雄介は進むが同じ世界の人間がいたことに驚きを隠せなかった。クルジェとクレアも驚いていた。
 進はその隙を見逃さず長い槍を雄介に向けて突いた。
雄介はすぐにすぐに我に帰り回避をしたが間に合わず右わき腹を貫かれた。
「おいおい、これぐらい回避してみろよ。なさけないなぁ」
「うるせぇ、てめぇ今すぐにぶった斬ってやるから覚悟しやがれ」
雄介は腹から血をぽたぽた落としながら言い放った。
クレアが呪文の詠唱を唱えかけたが、雄介は余計なことをするな!と言った。
一心不乱に刀を振ったが全てを流されてしまった。進の攻撃は防御の中で確実に雄介にダメージを与えていた。
「君はなんの為に戦っているんだ?」
「俺は、この世界を救うために……」
「うそだね。君はこの世界を救おうなんてこれっぽちも思っていない」
「じゃあ、てめぇはなんの為に戦っているんだ?」
「僕は君たちを殺すためだけに強くなってきた」
「それだけの腕があるんだったら、賢者ぐらい倒せるだろうが!」
「あぁ、イヴァンぐらいなら簡単に殺せるさ。でも、異界の騎士としてこの世界に来たのに僕は石に選ばれなかった。だから、石に選ばれた君たちが憎い。三賢者も君たちを殺そうとしている。理由はどうあれ望むことはいっしょさ。」
(俺は何の為に戦っているんだ?この世界がどうなろうと知ったこっちゃない。なんで?)
「僕を相手しながら考え事かい?バカにするのもいい加減にしてくれ」
(俺は…なんの為に…)
進は雄介を突き飛ばした。
「とどめだ! 死にな! グランドバッシャー!」
進がそう叫ぶと大量のカマイタチが地面をえぐり土を纏った土の刃が雄介をおそう。
(クル…ミルク…すまねぇなぁ…勝てそうにないぜ…なさけねぇたった一人を守ることも出来ないなんて…力が欲しい。あいつに勝つだけの力が…力があればミルクだって死なずに済んだのに…)
雄介は叫んだ。胸のそこに浮き上がってくる言葉を。
「ブレイヴ・シールド!」
雄介の目の前に大きな黄金の盾が現れた。
盾は進の攻撃をかき消した。
「なに!?」
雄介は自分の身長と同じぐらいまで成長した刀を盾に向けた。
「ブレイヴ・フォース!」
雄介が言うと盾は金色の炎となって雄介の刀の刀身に集まり刀身は金色の炎に包まれた。
「覚悟しやがれ。倍返しにしてやる」
雄介は刀を大きく振り上げて一気に振り下ろした。
その金色の炎を纏った衝撃波は地面をえぐり進のグランド・バッシャーそのものだった。違うのは金色の炎をまとっていることだけだった。
「ブレイヴ・グランド・バッシャー……」
クルジェは不意にそう言った。
ブレイヴ・グランド・バッシャーは一直線に進を襲った。
進は回避が不可能だと思い槍を盾の代わりにしたが槍は抵抗無く真っ二つに斬れ進は直撃した。
奇跡的に生きていた進は既に虫の息だった。
「……やっぱ…伝説の騎士だな…かなわねぇ…必死に技を…磨いたのに…あっさり…やられたな……」
「…」
「お前たちはこれから先にある現実と向き合わなければならない時が来る…決して逃げるな…そして本当の敵を倒せ……」
進はそういい残すと絶命した。
「本当の敵…神のことか……」

◎イヴァン

雄介達は進の墓を立てるとその場をあとにした。

「ねー、雄君はなんの為に戦ってるの?」
クルジェは不意に雄介に聞いた。
「! いわねぇよ」
「教えてよぉ!」
「秘密だ」
「まあまあ」
「クレアさんなんだよその顔は?」
「私にはなんとなく解かるんですよ」
「クレアさん教えて!」
「言うなよ、絶対」
「私の気分次第かな? それにしても、雄介君は魔法を使いましたね」
「使った使った! なんで使えたの?」
「なんか修羅場で胸の奥で言葉が浮かんできたから、言ってみた」
「へぇ~…… あっ、町が見えてきた!」
クルジェの指差す方向に町が見えていた。マクスウェルの話だと極寒の地と聞いていたが全然寒くなかった。
「ここがズフリかぁ」
さすが雪国という感じの家々が並んでいた。
雄介は町人を捕まえて聞いた。
「ここズフリですよね? なんで寒くないんですか?」
「最近祠に祭ってあるディアボロ様がお目覚めになって町を暖かくしているんだよ」
雄介達は町人に祠の場所を聞いてそこに向かった。
祠は町の一番奥にあった。
そこには一人の男が霊石を取ろうとしていた。不自然なまでのキラキラした鎧に金髪、そこにかなりの男前の顔があった。
「おやおや、進の結界はもう破られたのか?」
三人はとっさに武器を構えた。
「てめぇが三賢者のひとりイヴァンか?」
「そのとおりだよ。やっぱり僕が美しすぎるからばれたのかな?」
「うわっ、ナルシストだよ」
「クルジェの世界にもナルシストって言葉があるのか?」
「うん」
「あら、私の世界にもありますわよ。」
三人は武器を構えたままこんな会話をしていた。
「ふふ、僕を無視して雑談かい? 僕が美しすぎるからって無視はひどいなあ。悪いけど君たちには美しく死んでもらうよ。雷帝イヴァンはディドロほど弱くはないよ。ミルクって言う小娘にやられたそうだね。ミルクちゃんもよわいなぁ、ディドロごときに殺されるなんて。ディドロに手も足も出なかった君たちはもっとよわいなぁ」
「黙れ……」
「おしゃべりしすぎたね。じゃあ、美しく僕の雷で死んでもらおうか。裁きの雷!」
空から一筋の雷が三人目掛けて落ちてきた。
「マジック・シルド!」
クレアは魔法を防ぐ盾をだして直撃を防いだ。
しかし、すぐに盾は砕かれ雷は近距離におちて砂埃がたった。
砂埃の中で何かが光ったがイヴァンは気がつかなかった。
「とどめだ! 雷神の聖け……」
「遅い!」
雄介はイヴァンの足を蹴った。イヴァンはバランスを崩し前かがみになった。雄介はすかさずイヴァンの顎を蹴り上げた。イヴァンの身体は浮き上がり天高く飛んでいった。
クルジェの唱えたのは身体能力を何倍にも引き伸ばす魔法だった。
「フライ!」
クレアはそう叫ぶと雄介の背中に天使の羽のようなものが四枚現れた。雄介は羽を羽ばたかせイヴァンを追いかけて飛びだった。
イヴァンは何が起きたか解からずにいた。自然にイヴァンの身体は重力により地面へと落ちていった。
そこに右手に逆手もちした刀を持って勢いよく雄介は飛んできた。
「翔斬!」
雄介は落ちてきたイヴァンを思いっきり斬った。イヴァンは自分の身体の切り口をみて絶叫しながら絶命した。
「ダークゲート!」
クレアが叫ぶとクレアの頭上に大きな黒いサークルが現れた。
「ゲートオープン!」
クルジェが叫ぶとサークルに文字が浮き上がりイヴァンの死体を吸い込んだ。
「ブレイクゲート!」
降下してきた雄介は刀を振りかざしサークルを真っ二つに斬りサークルは消えてなくなった。
2010-11-06

Other World 第04話


◎ 蒼の騎士

 出発の朝、雄介は決意を抱えながら謁見の間にきた。
「雄介様……」
「ミルク……悪いな、俺はやっぱり旅を続けるよ。俺はやらなきゃならない事があるんだ」
「なら、私を連れて行ってください。」
「そいつは無理な相談だな。わるいな、じゃあな。クレアさん睡眠魔法を頼まれてくれるか?」
「わかったわ。スリープパウダー!」
ミルクの上から、粉が降りてきた。ミルクはすぐに眠りについてしまった。
「このような無礼お許しください」
「よいよい。この娘は何を言っても聞かぬ娘じゃ、なんの話かわからぬが眠らしておくのが、一番よいじゃろう」
「お許しありがとうございます。我々は、己を鍛えたいのでどこかよい所はないでしょうか?」
「修行をしたいのか、ならばここから東に行った所にトレイの町がある。そこなら、修行ができる。」
「ありがとうございます。それでは私どもはこれで失礼します。それと、姫によろしく言っておいてください」
三人はファイの町を去っていった。
トレイの町は一日歩かないうちに着いた。その日は宿屋を見つけてすぐに就寝した。
次の日、三人はそれぞれに見合った修行場をみつけて一ヶ月修行することにした。クレアとクルジェはすぐに見つかったが、雄介のは見つからなかった。
雄介は仕方が無いので、町の周辺でモンスター狩りをすることにした。王様にかなりの大金を貰ったので、お金の心配はなかった。
……
三週間、モンスターを倒しまくりかなり剣の熟練度も破壊剣の強さも上昇していた。そんなある日、雄介の前に全身蒼色の男が雄介の前に立っていた。
男は雄介の格好の色違いで鍔が無駄に大きい蒼い帽子を被っていた。
「君が五代雄介だね? さっそくで悪いが手合わせ願おう」
男はそう言うと剣を抜いて向かってきた。雄介も無言で刀を抜き応戦した。雄介は、力任せに刀を打ち付けていた。しかし、雄介の剣は全て流されていた。
男は大きく振りかぶり縦に振り下ろしてた。雄介は、刀身を持ちなんとか防いだ。
「力だけじゃ、この先誰一人倒せないなぁ」
 そう言って男は雄介の腹を蹴った。雄介はひるんでしまった。男は力一杯に横斬りにしてきた。雄介はそれを間一髪ジャンプしてよけた。しかし、着陸した瞬間に男は剣を振ってきた。雄介は、刀で受け流した。
「それでいい。雄介!」
雄介は男の攻撃を受け流し続け、男に隙が出来たのを見逃さず斬ったが、男はそれより先に雄介の腹に重たいパンチをくらわせていた。雄介はもう動くことはできなかった。
「雄介、君はまだまだ強くなれる。しかし、何かを忘れようとして振っている剣じゃ強くはなれない。これをあげよう。これは魔石といって、武器に特殊能力をつけることが出来る。強くなってからまたやろう。じゃあな」
男は去ろうとした。
「あんた名前は?」
雄介が始めて口を開いた。
「蒼の騎士」
蒼の騎士は去っていった。

◎ アクバル

三人が修行に出て一ヶ月。三人は以前とは比べ物にならないぐらい強くなっていた。三人が集まったところで、昼食をとり会議を始めた。雄介は魔石を片手に話をしていた。
 急におじさんが声をかけてきた。
 「それは、魔石じゃないか! 珍しいものをもっているね」
 「ああ、これですか? もらいものなんですが、使い方がわからなくて困っているんですよ」
 「魔石はね、武器にくっつけると使えるよ。ここから北に二日ほど歩けばナタの町がある。そこに腕のいい合成士がいる。そこで魔石をつけてもらえばいい」
 そう言っておじさんは去っていった。雄介は、どこかであったような気がしていたが気のせいだろうと忘れることにした。
 「目的地もないし、雄君の武器を強化するためにナタの町に行きましょう!」
 クルジェの提案にクレアも賛同し、ナタの町に行くことにした。
 道中いろんなモンスターに遭遇したが特に手こずることなく倒していた。
 町の手前で盗賊団に囲まれたが、クレアとクルジェの新召喚魔法『灼熱のイフリート』で半殺しにして見逃してやった。
 そんな出来事がありながら町に着いた。
 「ここがナタかぁ。ヨーロッパみたいな町だな」
 「?」
 「いやなんでもない。さて、合成士を探すかな……って多い!」
 町中が合成屋ばかりだった。三人はどこにしようか迷っていた。その時、華やかな合成屋街から離れたところに淋しく一軒の合成屋があった。雄介は、なぜかそこに魅かれてしまって、気がついたらそこに入っていた。
 「誰だ?客か?」
 「ああ、客だ。合成を頼みたい。」
 「断る。貴様のような奴の武器を合成するつもりはな…」
 合成士の口が止まった。
 「おまえ、その魔石をどこで?」
 「ああこれか? 蒼の騎士とか言う奴にもらった。」
 「くくくく。そうか、よし、お前の武器を合成してやる。そこのロッドも貸しな! 特別にオレの魔石を合成してやる!」
 「ありがとう。でもなんで急に?」
 合成士はすでに仕事にかかっていた。仕事をしながら、答えた。
 「蒼の騎士っていうのが、オレの親父だ。三年前に闇の騎士を探すと行ったきり返ってこなかった。親父は、この魔石を持ってる奴が現れたら合成してやれって言ってたからな。合成してやる気になった。さあ、気が散るから三日後に来い。その頃には完成してる」
 合成士はそう言って、三人を追い出した。
……三日後
 「よぉ、出来たか?」
 「おうよ、完成済みだ。魔石の中身はわからんが、パワーアップしているはずだ。それと、ロッドのほうは魔力を増幅させる魔石をつけておいた」
 合成士は三人に武器を渡した。
 ドーン!!!
 いきなり扉が吹き飛んだ。
「ようやく見つけたぞ。合成士。ディドロ様の武器を合成してもらうぞ」
 勢いよく入ってきた男は、ぼろぼろのジーパンに素肌の上に着ているジャケット、赤髪なのにボーズ、サングラスをかけていて口にはピアスをしていた。
「誰があんな年増の為に」
「かぁ~、てめぇ今ので死んだぞ。ディドロ様に年増なんて言いやがって死にやがれ!」
男は指をパチンと鳴らすと爆発が起きた。爆発は合成士を軽く包んで彼を絶命させた。
「あ~あ、死んじまったよ。ディドロ様に怒られる」
これをみた雄介は、男を殴った。
「なにすんだテメェ! 殺す! テメェは……そうか、お前を殺せば怒られなくてすむな。と、言うわけで死んでもらうぞ」
「クルジェ、クレア!こいつを倒すぞ!」
雄介は刀を持って走り出した。雄介の攻撃はとても速く少しづつ男にダメージを負わせていた。何度か斬った後に大きい一撃をくらわせた。
「くはっ…てめぇ殺す。このブエン、最大の爆発で殺してやる!」
 そういうとブエンは力を蓄え始めた。 
「光元召喚! 絶対無双の盾『ガーディアンナイト』」
 魔法陣の中から『ナイト』が大きくごつくなった『ナイト』が出てきた。
「ビックバン!」
ガーディアンナイトを出した直後にブエンは大爆発を引き起こした。
クルジェとクレアはガーディアンによって守られたが、雄介は直撃していた。二人は絶望していたが、雄介は生きていた。しかし、雄介の前には蒼の騎士が立っていた。蒼の騎士は爆発寸前で雄介の前に立って雄介を守った。
 「間に合ったようだな」
 「蒼の騎士……大丈夫なのか?」
 「ああ、じきにオレは死ぬ。お前を守るために宝玉『アクバル』を使ったからな」
 「どうゆうことだよ? なんで、蒼の騎士が持っているんだ?」
 「これは、家宝なんだよ。闇の騎士が現れたら渡すのが我々の家系の仕事だった。そして、アクバルは相応でない者が使用するとどんな攻撃からも守ってくれるが引き換えに使用者の命を絶つのだ。さあ、闇の騎士よこれが宝玉……いや、霊石アクバル。光の石。受け取られよ」
 アクバルを受け取ると蒼の騎士は安らかに息を引き取った。
 「なんだてめぇまだ生きてるのか?」
 雄介はブエンをにらんだ。
 「今度こそ殺してやる」
 ブエンが再び力を蓄えようとしたが、雄介は目にも留まらぬ速さでブエンを切り裂いた。蒼の騎士の騎士から貰った魔石は風よりも速くなる力だった。ブエンは、なにが起きたのかが解からないまま絶命した。

◎ マリア

 三人は彼らの葬礼を終えて、意気消沈していた。そんな空気の中、雄介は口を開いた。
「これ、クレアさんに」
雄介が取り出したのは霊石アクバルだった。そして、そっとクレアに渡した。
クレアの手に渡った瞬間、アクバルが輝き始めた。
……
光はいつのまにか消えていた。そして、空から一人の女が降りてきた。
「私の名前はマリア。霊石アクバルを守る者です。いま、私の封印が解けたということは貴方達は異世界の人たちね」
マリアの質問に雄介たちは一斉に首を縦に振った。
雄介達はこれまでの事、三賢者の事などをアリアに話した。わけではない。マリアが、雄介達の記憶を全て読み取った。
「そうですか、また……今度は本当に危険かもしれませんね」
「危険って?」
雄介が聞いた。
 「前に一度同じような事が起きました。しかし、能力者は本当に三大頭だけだったのです。しかし、今回は刺客として能力者を送ってきています。……クルジェ、東に向かいなさい。そうすれば、クロムが眠っています。クロムにはマクスウェルがいます。彼なら、貴方たちを強くしてくれます」
 そう言い残すとマリアは消えた。
 「クレア、本当に危険だと感じたらアクバルを天にかざしなさい」
 マリアの言葉はクレアにしか聞こえなかった。

 ◎クロム
 
 「東かぁ、アバウトだよな~」
 「東って言っても広いしなぁ」
 「まあまあ、二人ともとにかく東に行きましょう」
 そんな会話をして、三人は東に向かった。
 …
 三日ほど過ぎた後、食料が底をついた。三日間に異常な量のモンスターと戦い、食事の量が増えてしまって現状に至る。
 「どうする、クルジェ? クレアさん限界だぜ」
 「そうね、基本的によく食べる人だから、一日絶食すればこうなるわね」
 クレアは、空腹のあまり倒れてしまっていた。そんなクレアを背負いながら、雄介はクルジェと会話をしていた。
 そろそろ、雄介に限界が近づいた頃、村が見えた。雄介は、最後の力を振り絞り走りだそうとした。が、目の前に五メートルは越えるゴーレムが現れた。
 「マジかよ。勘弁してくれ」
 人の心も知らずモンスターは襲ってきた。クレアをおろし、雄介は刀に手をかけたが力が入らない。雄介は限界だったので、刀を握る力も残っていなかった。
「ヒートアップ!」
クルジェは唐突に叫ぶと、雄介は急に立ち上がった。そして刀を握り引き抜いた。それと同時に魔石が強く光った。
「マジックアシスト!」
クルジェは光を待っていたのか魔石が光るのを見て、叫んだ。
「くたばりやがれ、元闇奥義! 疾風斬・改!」
雄介は、一瞬にしてゴーレムの後ろに移動した。その直後にゴーレムに千を越える切れ目ができ、ゴーレムは砂になった。
雄介はそれを確認すると、倒れた。
……
雄介が目を覚ますとクルジェが心配そうに覗き込んでいた。
「おはよう……」
雄介は、優しく微笑みながらクルジェに言った。
「! 雄君のバカ、一回死んじゃえ!」
クルジェは、雄介の顔面に張り手を食らわせて顔を真っ赤にして部屋から出て行った。
「なぜ?」
雄介は二つの疑問を残して再び寝た。そしてまた起きたときは既に夜だった。雄介は、一つ目の疑問はさっぱり忘れて、起きた。そして、何処だかわからない部屋から出て、広間みたいな所に行った。そこには、見慣れた顔が二つあった。
 「おはようさん。で、いきなりで悪いけどここは何処?」
 「ここは、エン村。雄君まる一日寝てたんだよ」
 「へぇ、そんなに寝てたのか、それよりクレアさん大丈夫なの?」
 「クレアさんは……十人前のご飯を軽く平らげたわ」
 「……そうですか」
 「雄君もなにか食べなよ」
 「あぁ、そうさせてもらうよ」
 ……
 翌日、朝から雄介とクルジェは村をみて回ることにした。特に珍しい物もない地味な村だった。でも、村人はみんな優しかった。クレアと雄介を運んでくれたのも村人だったらしい。そのうえ、無償で彼らを宿と食料を提供してくれたのだ。
 雄介はある種の感動に浸ってた。時刻も正午ごろになった頃に、二人はある物を見つけた。それは、銅像だった。ナイスミドルのおっさんがきれいな宝石を天に掲げている銅像だった。
 「なんだこりゃ?」
 雄介とクルジェは息ぴったりに言った。
「これは、この村の英雄像じゃよ」
雄介たちが振り返ると一人の老人が立っていた。
「わしゃ、この村の町長じゃ」
老人は、ボケなのか真剣なのかそんなことを言った。
「村長、このナイスミドルは何をしたんだ?」
「しらん」
「は?」
「英雄としか、記録にのっとらん。かかか」
そんなことを言いながら、村長は立ち去った。
……
翌日、二人は銅像の前にやってきた。
「これは、オレの推測だが、あの石はクロムじゃないか?」
「奇遇ね、私もそう思った」
「雄介君~クルジェちゃん~」
クレアは気の抜けた声で二人を呼んだ。
「村長さんが石をくれるって」
「ん? 英雄の像の石をそんなにあっさり?」
「うん」
「なら、あたしが貰ってもいいわね」
どこからか声が聞こえてきた。
「はじめまして、異世界の騎士たち。あたしの名前はディドロ。よろしくぅ」
三賢者の一人ディドロがいきなり三人の前に現れた。三人は、武器を構えた。
「あらあら、異界人は野蛮ねぇ」
「なにしにきやがった!」
「あたしは、霊石クロムを貰いに来たのよ」
「そいつぁ、わたせねぇなぁ」
「あら、あたしと殺りあうつもり? あたしは、賢いだけじゃないのよ」
「やだやだ、話が長いわ。年増って」
「そうですねぇ、年は取りたくはないわね、クルジェちゃん」
「あんたたち、あたしを年増って言ったわね。死になさい!」
ディドロはそう叫ぶと両手を広げて魔法の詠唱を始めた。
雄介はそれを阻止すべく疾風斬を仕掛けたが、それを上回る速さで詠唱を終えた。
「アースペンデュ!」
ディドロが呪文を唱えると、地面が大きく揺れ始めた。雄介たちは立っていられなくなり、尻餅をついた。
ディドロは立て続けに呪文を唱えた。
「ノックアックロック!」
雄介達の足元が急に盛り上がり、大きな岩が空に向かって飛んでいった。雄介たちはそれをもろにくらって、かなりのダメージをくらった。
「これが、三賢者の力か……」
「これで終わりだよ。メテオレ…!?」
ディドロの詠唱が止まった。いや、止まったと言うより止められたと言う方が正しい。
「年増はおしゃべりだから、少し黙ってもらいましょう。ね、雄介様」
雄介達のピンチを救ったのは、ファム城の姫ミルクだった。
「ミルク!」
「雄介様お久しぶりですわ。挨拶はこの辺にしておいて、この年増をやっつけましょう。うふふ、魔法使いは私の敵じゃありませんわ。私が支配するのは『音』。私は、ファイ城メロディア家の娘。音の魔術師」
ミルク・メロディアは、そう言って目を閉じて持っていたハープを鳴らした。ハープの魔石が光るとディドロが急に耳を押さえだした。
「いったい何が?」
「あの人には、自然と身体が嫌がる音を聞かせているのこのハープの魔石でね」
ミルクが見せたハープには三つの魔石がついていた。
「メテオレイ……」
ディドロの詠唱に気がついたミルクはハープを鳴らして妨害をした。
「トドメです! サウンドクラッシュ!」
ミルクはハープを鳴らすと魔石が強く光りディドロを吹き飛ばした。ディドロは壁に激突して動かなくなった。
「雄介様、やりましたわ」
そういって、雄介に駆け寄った。
しかし、ミルクは地面から現れた尖った岩に胸を貫かれた。そしてミルクはそこに倒れた。
「うふふ、あたし一人死にませんわ。神が必ず私を生き返らせてくれますわ……」
そういい残してディドロは本当に絶命した。
「ミルク!」
一番に雄介が駆け寄った。クルジェも行こうとしたが、クレアがクルジェの肩をつかんで目をとじて首を横に振った。
「おい、ミルク死ぬなよ。頼むから死なないでくれよ……」
「雄介様…… 私は、あなたの役に立ちたかった……」
 ミルクは吐血をした。
「そんな、話後で聞いてやる。しゃべるなよ……」
「今日、ようやくあなたの役にたてました…… これでよかったのです…… 雄…介様…… 一つだけ私のお願い…聞いてくれますか?」
 雄介はこくりと首を縦に振った。そうするとミルクは雄介の耳元で何をつぶやいた。そして、雄介は静かに目を閉じてミルクに口付けえをした。ミルクは満足そうな顔をして、ゆっくり目を閉じて、動かなくなった。
2010-11-05

Other World 第03話

◎ドクラウ

さっそく、城を見に行くことにした。城を見て圧倒される三人。しかし、雄介はお城にいる姫に見とれている。お姫様はとても可愛かった。男が見とれるのも無理はない。だが、雄介はそっちではなく姫の首にかかっている宝玉をみている。サイの町で噂していた、宝玉だ。
「クルジェ、クレアさん、あれってそうだよな?」
ワケのわからない質問に少し困ったが、雄介が指差す方を見ると玉があった。
「あれは…… アレよね?」
クルジェも意味不明な事を言った。
「あれですよ」
クレアはさらっと答えた。
「おい、お前たち! 怪しい輩め、捕縛してくれる!」
兵士Aが叫ぶとBCと共に飛び掛ってきた。あっという間に返り討ちにした。すると、援軍のDEFGHが現れ、つかまってしまった。
……
「おとなひく、していろよ」
兵士は情けない声で牢に入れられている三人に言った。武器は兵士に取られたが、ペンダントは無事だった。
「なぜ、こんなことになった? クルちゃん」
雄介はまたおかしくなっている。
「私にもわからないわ」
「私たちどうなるのでしょうか?」
ごごごごごごごごごごごごごごごごごごご
ものすごい音がする。
「なにかしらねぇ」
「さぁ? 建てつけが悪いんでねぇの?」
「そんなはず無いわよ」
遠くのほうで、モンスター軍団襲撃!という声が聞こえる。
「モンスターかい!」
「あらあら、どうしましょう?」
「クレアさんそんなのんびりしながらいわないで!私たちは今丸腰なのよ」
「お前たち! 腕がたつらしいな。開放してやるから、モンスターを倒してくれ!」
兵士Aが牢屋に飛び込んできて、こういった。牢屋から出て少し上機嫌な雄介が
「で、俺らの武器は?」
「あっ武器庫に……」
兵士の一言でここのメンバーの表情は凍りついた。
「仕方が無い。強行突破だ!」
……三人は飛び掛るモンスターを軽快に避けたが、武器庫手前で二人の人間がいた。一人は、この城の姫らしき人。もう一人は、男がいた。
「おい待ちくたびれたじゃねーか。オレは、三賢者の一人雷帝イヴァン様に使えているドクラウ。悪いが死んでもらう」
「易々やられないぜ。いくぞ!」
雄介は腰に手を当てたが、刀が無い。雄介の表情がまた凍りついた。
そんなショートコントをしているうちに周りが霧に包まれた。次の瞬間、斬りつけられた。
「オレの力は雲。視界不良じゃ勝てないな」
そんなこと言っている間に傷は増えていく。
「ちっ! どうしたらいい? あっ!」
雄介は何かを思い出したようにペンダントを握り何かを取り出した。雄介は砂漠で拾った黒龍の頭をかたどったナックルをだした。
「なんだそれは?」
「さあな、なんだかわからないなぁ」
そうゆうと、雄介は目を閉じた。そして、目を開けたとき黒色の瞳が金色に変わっていた。雄介はナックルを手に付けると、自分の右側をまっすぐに殴った。空を殴ったのだ。それは手ごたえがあった。バタっという音が聞こえた瞬間に霧が晴れた。
「くっ、ナゼ、わかった?」
「カン」
そう一言いうと左手でドクラウの襟首をつかみ、ドラゴンナックルで腹を殴った。すると、ドラゴンナックルが紅く光りドクラウは数十メートル吹き飛んだ。ドクラウの腹には中国の龍の形がうきでた。ドクラウはふらふらになりながら立ち上がった。
「無双龍の一撃は貴様を焼き尽くす」
ドクラウの腹の龍が紅く光った。次の瞬間、ドクラウの炎に包まれ十秒もしないうちに灰になった。
雄介は、倒れている姫を起こした。姫は、起きたと思ったら雄介にビンタをくらわせた。
「あっ、ご、ごめんなさい」
「いや、平気ですよ」
雄介はにっこり笑った。二人の間に変な空気が流れた。
「雄君」
クルジェの一言で我を取り返した雄介は立ち上がった。
「救っていただきありがとうございます。お礼になにかさせてください」
「えっと、それは後にしておくよ。今はとりあえず武器庫に行くから」
そう言って、姫を残して武器庫に急いだ。
姫はすぐに駆けつけた兵士に保護された。
三人は武器庫で、自分たちの武器を回収して城から逃げようとしたが、後からきた兵士Aに呼び止められてしぶしぶ城に連れ帰された。

◎ 謁見の間

 「おお、お前たちかモンスターを追い払ったのは。しかし、お前たちは何故城内におるのだ?」
 王様の問に後に兵士が耳打ちした。
 「そうか、それはすまぬことをしたのぅ。お詫びとしては何だが、欲しいものを言うがよい」
 「王様……意味わかんない。」
 クルジェはそう呟いたが、誰も聞いていなかった。
 「それじゃあ、姫の持っている玉を譲っていただきたい」
 「ミルク、どうかのぉ?」
 ミルクとは、姫の名前だ。
 「えっ、あっ、はい。全然、大丈夫です。隣国の王子から貰ったものですけど、いいですよ」
 そうゆうと、ミルク姫は宝玉を雄介に渡した。
 「はい、雄介様」
 ミルク姫は頬を赤らめて雄介に渡した。
 「今日は、城に泊まるがよい」
 王様がそういうと、一人一部屋与えられた。しかし、落ち着かない三人は会議室を借りて、宝玉について調べてみた。老人は、宝玉は持つべき者がもてば美しく輝くといっていた。と、言うことでクルジェとクレアが触ってみたが何の変化も無かった。今回はハズレらしい。
 「じゃあ、この宝玉はミルクに返してくかぁ」
 「そうしましょ」
 「これから、どうしましょう? 王様に事情を説明してみようかしら?」
 「いや、やめておいたほうがいい。にわかに信じがたい話だ。それに、へたすりゃ賢者の冒涜で死刑台に送られるかもしれないな」
 「じゃあ、解散ね。また明日! クレアさん、ちょっといい?」
 「うん、大丈夫よ」
クルジェは、そう言ってクレアを連れて行った。一人残された雄介は自分の部屋に戻った。
 雄介は、今日使ったドラゴンナックルを見つめて物思いにふけっていた。ドアから、コンコンとノックする音が聞こえてきた。はーい、と返事をしながらドアを開けるとミルク姫が立っていた。
「少し、お話をしてもいいかしら?」
「あぁ、いいよ。入りなよ」
「昼間は本当にありがとうございました。それと、お顔の事ごめんなさい」
「いいって。あれぐらい平気だって。あぁそうだ、これ返すよ」
雄介はポケットから宝玉を出して、ミルクに渡した。
「これ…… どうして?」
「どうも俺らが探していたものじゃなかったから」
「そうですか…雄介様のお役にたてなくて残念です」
「気にするなって。それよりも話ってなに?」
「えっえっと、あのその……」
「?」
「わ、私と結婚してください」
ミルクは、顔を赤らめて言った。
 「ん? けっ、結婚?」
 予期せぬ事態にびっくりする雄介。
 「い、今すぐじゃなくていいんです。返事は明日いただけないでしょうか?」
 「えっ、あっ、うん」
 「じゃあ、し、失礼します」
 そう言ってミルクは走り去っていった。雄介は呆然としていた。雄介は十六歳。ミルクも十六歳。お似合いはお似合いだが、雄介は今の今まで告白しては撃沈し続けてきた。そんな自分が大陸全土の男の子の憧れの的が自分に求婚してきた。雄介は一晩中悩み続けた。
2010-11-04

Other World 第02話


◎ 砂漠

目の前が明るくなると砂漠だった。どこまでも続く砂漠だった。とりあえずファントムは仲間の安否を確認した。クレアはファントムの上にいたのですぐに確認できたが、クルジェが見当たらない。ファントムはクレアをたたき起こして、クルジェを探した。   程なくしてクルジェは見つかったが、典型的盗賊団に囲まれていた。
 「さて、ねぇちゃん金目のものだしな」
 ありきたりなセリフを盗賊Aが言う。クルジェは、
 「ないわ!わかったなら、消えなさい、ハゲ!」
 クルジェは盗賊四人に対して余計な一言を加えて言った。クルジェの一言に怒った盗賊はクルジェに襲いかかった。気がついたときにはダガーが目の前に迫っていた。絶体絶命のピンチに、クレアが杖を振り回して「シルド!」と叫んだ。すると、盗賊Aのダガーが折れた。クルジェの目の前で。クレアは、防御呪文の基本『シルド』を唱えて、クルジェを守ったのだ。
 唖然としている盗賊団に一気に合間をつめて、刀を振りかざして盗賊Cを斬りつけた。命を奪うほどの威力はなかったものの盗賊Cの戦意喪失に成功したようだ。それを見た盗賊BDは逃げ出した。残りは盗賊Aだけだが、実はこいつが一番強そうなのだ。盗賊Aは、荷物から剣を取り出してクルジェを斬りつけた。この一撃は、クルジェに傷を負わせることができなかったが、クレアのシルドを砕いた。シルドを物理攻撃で破ることは並みの人間じゃできることじゃない。そんなことは知らないクルジェは不意打ちに驚いて尻餅をついた。そして半泣きになって最期のときを待った。盗賊Aは剣を大きく振り上げ振り下ろそうとしたときに、「クルジェに手を出すな、クソ野郎」という声が聞こえた。声の主はファントムだった。ファントムの目つきは先ほどとは違い鋭く殺気に満ちていた。
 ファントムは信じられない速さで合間をつめた。そして、盗賊Aの目の前で右手に刀を持ち腕は一切曲げず刀と腕は垂直になっており、まず右足を踏み込み右足に重心をかけて右手を右足の内側に持ってきて地面と刀は平行の状態にして、腰から体をひねり盗賊Aを切り上げた。刀身の残像は半月のようにみえた。
 「半・月・斬!」
 ファントムはそう叫んで盗賊Aを切り上げてその命を奪った。
 ファントムは正気を取り戻したのか慌ててクルジェに駆け寄った。
 「大丈夫?」
 「ええ、なんとか。貴方こそ大丈夫? さっき別人みたいだったよ?」
 「……クルジェが殺されそうになったときに急に大きな闇が心を被いつくして体が勝手に動いたんだ。くっそ、死に値する人間じゃなっかたのに」
 「ううん。それは違うわ。ファントム君が斬らなかったらクルジェちゃんが殺されたのよ。ファントム君はわるくないよ」
 クレアの言葉にファントムは一筋の涙を流した。
 ファントムは、「よしっ行くか」と言って立ち上がった。
 「あっ、君の剣が変わってるよ」
 クルジェの一言にファントムは思わず自分の刀を見た。刀は、どこにでも売っていそうな刀だが武器としては十分使える形になっていた。

◎ 町

 三日間ほど砂漠を歩いたぐらいに町が見えた。ファントムとクルジェははしゃぎながら、町へと走って行った。クレアはそんな二人を追いかけた。
 「着いたぁ。あ~疲れた。お風呂た~い」
 クルジェの第一声がこれだった。まあ、無理もない。まだ、十五、六の少女が三日間も風呂に入らないのは苦痛なのだろう。
「とりあえず、宿屋でもさがすかな」
 ファントムはそう言って歩き出した。彼は、仮にも人を殺したのだが、ぜんぜん気にしていないようだ。普通この類の物語の主人公は人を殺したことに悔やみ後悔し悩みながら旅を続けるのだが、彼にはそんなそぶりがまったくみえない。おそらく、このファントムとは違うファントムがやったこととクレアのやさしい微笑と言葉が彼の心を包んでくれたからだろう。
 「あっファントム君クルジェちゃん、宿屋あるわよ。ほらっ」
 さっそくクレアが見つけた宿屋らしい建物に入っていった。
 「なんだ、おめーらは」
 店の主人の第一声がこれだった。とにかくがらの悪い人だった。
 「あ、あのぉここは宿屋ですよね?」
 クレアはおどおどしながら、きいた。
 「そうだ。お前ら、客か?」
 「えっあっはい。そうです……」
 「いらっしゃいませこんにちは」
 店主は声色を変えていった。
 「御代は出て行くときにお支払いください。では、お部屋にご案内します」
 主人は部屋に案内して、「ごゆっくりどうぞ」と言って去った。
 「いやー疲れたよ」
 「まったくね。クレアさん後でお風呂はいろうね」
 「ええ。でも、御代はどうするんですか? ファントム君」
 ファントムの顔が凍りついた。それを見たクルジェが、「おじいさんにもらったペンダントの中に入ってない?」ということを聞いてきたのでファントムは慣れた手つきでお金を出した。入っていたものの足りない。
 この世界の共通金貨の単位はV(ヴァン)だ。
 この宿屋は一人千V。つまり三人で三千V。入っていたのは千五百V。半分しかない。
 三人はこの状況を打破する為の作戦会議を始めたが、五分もしないうちに「お風呂に入ってからにしない?」という提案に満場一致したので風呂に入った。
 ……
 さて、さっぱりした三人は会議を始めた。出逢って三日にしては何の抵抗もなくすんなり仲良くなり抜群のチームワークを誇る三人は、町に出かけようという提案が一致し、町に出ることにした。

町は活気にあふれており、いろんな服を着た人が行きかったいた。この町は『サイ』という町らしく砂漠への入口出口の町なのでいろんな人がいるそうだ。
三人はお金を稼ぐ方法を聞いていた。いろんな人に聞いたがどの人も「身体を売ればいい」と答えるばかり。困った三人は途方もなく町を彷徨った。数時間後、ある行商人が、他の行商人と情報交換の話をしていた。クルジェの世界もこの世界も行商は、世界中を旅してその地方特有のものを買いあさり他の地で売りさばいている。行商人たちは情報のやり取りをして去って行く。彼らにとって一期一会のやり取りが死ぬか生きるかのやり取りになる。と、クルジェが淡々と話していた。
さて、行商人の一期一会のやり取りをクルジェが盗み聞きして得た情報によると、もともとここは超古代文明(いまの闇の世界)が栄えていたらしいが、戦争できれいさっぱりなくなって砂漠になってしまったそうだ。でも、ときどき砂の中から超古代の装備が発見されることがあり、売れば大金になるそうだ。
 と、いうことで、三人は砂漠に向かった。三人ともあまぞうだとおもいながらも砂漠に向かった。そして砂漠の出入り口から少し歩いたところで三人は探した。探した。探した……
戦利品はクレアの発見した、リボルバー(弾二発入り)一丁。クルジェの発見した、CD-ROM。ファントムは黒龍の頭をかたどったナックルを見つけたが、それを気に入りペンダントに隠したことなど、お嬢二人は気が付くハズがなかった。
で、あまぞうな三人は武器屋に売りに行きリボルバーを一万Vで買い取ってくれた。本当は十万Vはするそうだが保存状態が悪いため安くなったらしい。クルジェのCDは価値がないらしく、クルジェはCDを発見して浮かれまくっていた自分が恥ずかしく感じたのか半泣きになっていた。そんなクルジェをみて可愛いなぁ、と思ったファントムは思わずにやりとしてしまった。
「とりあえず、このお金で食事でもしましょう」
クレアの提案によって食事をした。この世界にきてろくな食事をしていない。老人はどこで手に入れたのかペンダントにカップラーメンをいれていた。二人はものめずらしく食べていたがファントムは受験勉強の夜食によく食べていたので少しがっかりしていた。そんなこんなでクレアの選んだ飯屋はメニューのない店。客が入れば鶏肉に似た巨大な肉が出てくる店だった。肉の大きさは関取の腕ぐらいの太さゆうに三十センチはこえる長い骨が付いていた。
「クレア……ここですかい?」
動揺のあまりファントムの言葉使いがおかしくなる。
「ココ、おいしそうじゃない」
クレアがにっこりと笑う。
「ま、どこでもいいんじゃない? どうせ、字も読めないんだし」
クルジェの言っていることは正論だったのでファントムも納得したようだ。
 ……
「あー、おいしかった!」
クレアは満足そうに言った。しかし、残りの二人は苦しそうだ。クルジェは、味には満足したようだが五分の三ほど食べたぐらいに限界がきたらしく、肉をファントムに譲った。ファントムはとりあえず一本食べて満足そうにしていたが、クルジェの譲り物がかなりきいたらしい。クレアはこの肉を三本も食べたのが驚きだ。これだけ食べても千四百Vだった。
三人は宿屋に戻り会議を始めた。内容は今後どこにいくか。しかし、会議は一向に進まない。それもそのはずだ、ノーヒントで旅立ったからどこに行けば解からなかった。情報を集めるために外に出かけることにしたがクレアはすでに寝ていた。まだ二十二時なのに寝ていた。しかたがないのでファントムとクルジェは二人で出かけた。
サイの町は夜もほとんど休まない町で昼同様活気に満ち溢れていた。二人は街中を盗み聞きしながら歩いていた。その情報交換のなかに『宝玉』の話をしているのを聞いた。ファムの町に首に白く美しい宝玉をぶら下げた女がいたそうだ。こんな前置きのような話をクルジェは聞き逃さなかった。宿にかえってすぐに作戦会議を始めた。が、会議をするまでもなくファムの町に行くことを決めた。どの道、情報がないので玉のうわさがあるところに直行するしかないのだ。
さて就寝しようとした時、ファントムはある異変に気がついた。クレアが布団で寝ている。謎の美女クレア。しかし、ファントムは特に気にすることなく眠りについた。

◎ オルフェウス

「おきろよ、ファン君」
ファントムはクルジェに起こされた。
「おはよう。惰眠をむさぼるファン君」
「おあよー、クルジェ」
「クレアさんがもう会計を済ませてるから、さっさと起きなさい」
ファントムはさっと覚醒すると顔を洗い歯を磨いて外にでた。
「おはよう。ファントム君。よく眠っていたわね」
「おはようございます。昨日は遅かったですから」
「ところで、ファン君はファムの町がどこだが知ってる」
「ああ、昨日クルジェが寝たあとに聞きに行ったよ。行商に聞いたから間違いないよ」
「あら、行商がタダで教えてくれたの?」
「いんや、ものを買わされたよ。ほら、やるよクルジェ。それと、クレアさんにはこれ」
ファントムがクルジェに渡したのはどこかの民族の髪止めだった。これが以外にも可愛かったりする。クレアに渡したのは、同民族の指輪だった。これもなかなかのものだった。
「わぁありがとう。でも、ファン君。これいくら……」
クルジェはおそるおそる聞いた。
「二つで百Vだった」
クルジェはほっとした。そしてクルジェは髪留めを付け、クレアは指輪をはめた。
「ファントム君、ありがとう」
 ……
三人は東北をめざして歩き始めた。
 ……
かれこれ三日間歩いたがまだ着かない。道無き道を進んできた。何度もモンスターに遭遇した。かなりの疲労が蓄積されていた。あきらめかけた時に町が見えた。わぁーと走り出したが目の前に急に男が現れた。男はファントムの格好からコートをはずしたような格好をしていた。
「君たちだね。異世界の戦士っていうのは。はじめまして、僕の名前はオルフェウス。三賢者のひとり、風のジェノヴァ様に使えている者です。申し訳ないですが、ここで死んでもらいます」
オルフェウスと名乗る男はそういうとゆっくりと近づいてきた。
「! クレアさん、召喚魔法を」
「ええ。いくわよ。クルジェちゃん」
「光元召喚! 天界の騎士、『ナイト』!」
クレアが叫ぶと○の中に☆のを書いた魔法陣が地面に描かれその中心から、銀色の甲冑が現れた。三日間の冒険で二人は召喚魔法を手に入れていた。クレアの能力は創造、クレアは創造の力でナイトを作り出した。クルジェの能力は維持、この世界にナイトを留めておく力を使っている。召喚の強さはクレアの創造した力の強さに比例し、クルジェの維持の強さが強ければ長く維持できるのが、召喚。
ナイトは、剣を振りかざしてオルフェウスに向かっていった。
「『ナイト』とまれ」
その一言でナイトは止まった。
「『ナイト』砕けろ」
この一言でナイトは砕け散った。
「僕の力は言霊。相手の名前を呼べばある程度まで操れる。意思の無いものなら、さっきみたいなことも出来る。ふふ、さて今度は君たちの番だ。動きを止めてこのナイフで切り裂いてあげよう。さぁ、『クレア』『クルジェ』『ファントム』とまれぇ!」
オルフェウスがそう言うと動きが止まった。そして、笑いながら歩みよって来た。
しかし、ファントムは何もなかったか様にオルフェウスとの合間を一気につめて
「ナゼだ! ナゼ効かない!」
「オレの名前は、五代雄介だぁ!」
ファントムはそう叫んでオルフェウスに半月剣をくらわせた。オルフェウスは、この一撃で絶命した。
「覚えておきやがれクソ野郎」

◎ ファムの町

「なんだアイツ、弱いな」
ファントム改め雄介がけらけら笑いながら言った。
「なんで、嘘をついてたの?」
「本当にわるかった。異世界に行けば俺の名前を知ってるやつがいないから、偽名を使ってみたかった」
「くだらない理由ね。それで、『ファントム』なのね」
「まあまあ、今回は結果オーライだったからいいじゃない。ほら、ファムの町に行きましょ」
クレアがこうまとめると三人はまた歩き出した。
 ……
「いやぁ綺麗なまちだな。」
「ほら、雄君あそこにお城があるわよ」
「じゃあ、ここは城下町なのね」
クレアの言う通りここは城下町である。ここは、いろんな商人がいて、サイの町より貴重なアイテムが置いてある。
「とりあえず、宿屋を探そう」
数分後……一人七百Vの宿屋に決定。
「宿屋も見つけたから、町の中でも散策するか」
三人は町を散策することにした。
2010-11-03

Other World 第01話

 【注意】
 本作品は蒼崎の中二病が酷かった時期の作品です。
 非常に痛い部分もありますので、気分が悪くなった方は即刻読書を止めてください。
 



 ◎序章

 この話をする前にこの空間について説明せねばならない。
 この世界は大きく分けて五つある。ものを創ること長けている人が集まる、創造・光の空間。ものを強化に長ける、維持・元の空間。ものを破壊することに長ける、破壊・闇の空間。三つの世界を観測する空間。そして、一切何も無い無の空間。光の空間は、文明レベルは低いが魔法を使い傷や病気の治癒ができ、術を極めれば死者をも生き返らせることも可能なのが『光』。元の空間は、ここも文明レベルは低いが魔法が使える。先ほど説明した通りものを強化することが可能でありここの住人は自然と共存しているため自然界のものを操ることもできるこれが『元』。闇の空間は、魔法こそは使えないが文明レベルは非常に高い。それ故にものを破壊することに関して長けてしまった世界が『闇』。読者も筆者も闇の世界の住人になる。最後に観測の空間は、魔法も使えるし文明レベルもいまは低いが恐ろしい勢いで進歩しており、ほっておけば軽く『闇』を越えられるだろう。
 この話は観測の世界の話だ。

 ◎始まり

 ○五代雄介の場合
 僕は、こんな退屈な毎日が嫌だった。高校に入って半年、学校では先生が進学進学と言い家ではあの大学に入りなさいとしか言わない母親。……こんな腐った毎日がとてつもなく嫌だった。何度か自殺も考えたが怖くてそんなことは出来ない。クスリをやろうとも思ったが、お金が無い。母親から、盗むことも可能だが自分で言うのもなんだがいい人なのでそれも出来なかった。
 「五代!」
 後ろから僕の名前を呼ぶ奴がいる。忘れていた。僕を憂鬱にさせる原因の一つがこいつだ。
 「なんだよ、山崎」
 僕は声を低くさせて答えた。
 「なんだよぅ、ご機嫌ななめかい?なんかあったか?オレ様に言ってごらん?ははは、五代のことだどうせたいしたことじゃないだろうな。うん、きっとそうだ。じゃ!オレ様は先に学校に行ってるからな!」
山崎は腹が立つほどハイテンションで去っていった。
 山崎は、高校に入ってすぐに僕を追い回してくる。少しでも気を許せば自慢話をしてくるかなり鬱陶しい男だ。こんな毎日が嫌だった。
 しかし、今朝テレビの占いを見ているとうお座が一番ラッキーらしい。言い忘れていたが僕は三月生まれのうお座だ。
話をもどして、占いによると学校や職場に異変を感じるが恐れないで進んでみようと言っていた。占いは信じないが心なしか気分がよかった。
 …
 今日も退屈な授業が始まった。
 ……
 今は三限目・物理の時間。力のモーメントってなんだよと思いながら、必死にノートを写してした。
 ……
 周りが徐々に暗くなってきた。雲でもかかったかなと思い気にしなかったが気が付くと周りが真っ暗になっていた。先生も生徒大混乱の中、僕はわくわくしていた。何か来る。何の根拠も無いがなんとなく感じていた。心臓が高鳴っていた。その高鳴りが最高潮に達したとき、目の前が明るくなり思わず目を閉じてしまった。再び目を開けると目の前に扉があった。クラスの不良達は普段と違い泣いている奴もいれば失禁しているやつもいた。僕はそんな奴らを気にも止めないで扉の前まで近寄り立ち止まった。
 「俺の前に出てきたってことは、俺はここを通ってもいいってことだよな?」
 僕は答えるかどうかもわからない扉に話かけた。
 「騎士ハ誰デモヨイ。貴公ハ異世界へ行クノヲ望ノ者カ?」
 僕は、大きく頷いた。
 「ヨカロウ、コノ扉ヲトオルガヨイ」
 僕はそれを聞くと静かに扉の向こうへと歩いていった。

○ クルジェ・テールの場合
 ここはどこだろう。間違いなく地図を見て来たのに迷子になってしまった。どうも私は天性の方向音痴らしい。十六歳で行商人をやっている私には方向音痴は考えものだ。そんなこんなことをしている間にようやく大通りにでた。今日は運がいいらしく大通りにはたくさんの人がいた。さっそく商売を始めた商品は飛ぶように売れた。それもそのはず、天性の方向音痴のおかげでいろんな町や場所にでていろんなものを入手に成功してきた。そんなアイテムを初解禁したのだ、売れないはずがない。
 ……
 そろそろ店じまいをしようとした頃、がらの悪い男二人が話しかけてきた。
 「お嬢ちゃん、よくもこんなガラクタを売ってくれたな。おかげでひどい目にあったぜ。許してやるから、一発やらせろや!」
 男の一人がそんなことを言って襲って来た。私は怖くなり商売道具をもって逃げ出した。どこまでもどこまでも逃けど追いかけてくる。必死に走っているうちに、暗い場所に出た。男たちはすぐそこまで来ていた。私は、目の前にあった扉に逃げ込んだ。その時は必死だったが後々後悔することになるとは思ってもいなっかった。

○ クレア・イーグルの場合
「……さようなら」
彼はそう告げると闇の中に消えていった。私は泣き崩れた。
三年間付き合っていた彼氏に浮気され、挙句の果てには捨てられてしまった。私は生きる希望を失ってしまった。彼のために仕事をして、プレゼントしてきたのにナゼすてられたのだろう? そんな解かりきった疑問を不安が包み込み解からなくなった。生きる希望を失った今残された道は『死』。自殺を図るために自宅で首吊りをしようとした。しかし、いざ実行しようとなるとやはり怖い。何分かたった後、意を決し実行に移そうとしたとき、夜で部屋が暗いのにさらに部屋が暗くなった。月光も届かなくなるほど暗くなった。私はとても怖くなった。逃げ出そうとして走った。しかしいくら走っても出口に辿りつかない。
「貴公ハ今、自殺ヲシヨウトシテイタナ?」
どこからか声が聞こえてきた。聞こえてきたと言うのは少しおかしい。頭に直接流れ込んでくるようだ。
「命ヲ捨テルノナラ、我ニ協力シテハクレヌカ?」
 「……」
 私は答えない。
 「我等ハ貴公ノ協力ヲ必要トシテイル」
 急に瞼が熱くなってきた。私は泣いている。さっきの涙とは違う。嬉しさから来る涙だ。一息ついて私は答えた。
 「私なんかで役に立つのならいいですよ」
 「…ナラバ、コノ扉ヲ通ルトヨイ」
 私はなんのためらいもなく目の前に現れた扉をくぐった。

◎ 出会い

 真っ暗な部屋だがものの形をはっきりと捉えられる不思議な部屋。急に三つの扉が姿を現した。三つの銀の扉は同時に開きその中から各扉から一人ずつ出てきた。
 一人は好き勝手に伸びた黒髪の男。上は白い服に下は黒いズボンをはいている男が現れた。身長は百七十センチ程度だ。
 もう一人は肩までの茶髪の女。上下茶色の服で長袖にくるぶしまで隠れそうなロングスカートをはいており、観る人によれば可愛い顔立ちをしている。百六十センチがせいぜいだろう。
 最後の一人はお尻を隠すことが出来るまで伸びた美しい金髪の女。上は白い服で襟は緑で大きく肩まで隠れ、スカートはさっきと同様でくるぶしが隠れるぐらい長く緑色をしている。この人は万人が認める美人だ。プロポーションは抜群によく身長は百六十五センチはあるだろう。
 第一声を発したのは茶髪の少女だった。
「ここどこ?」
「どこって言われてもなぁ」
 黒髪の男が答える。
 「で、君は誰?」
 茶髪の少女は聞く。
 「オレは雄…」
 黒髪は言いかけたが、口を止めて再び口を開いた。
 「オレの名前はファントム。で君は?」
 「私はクルジェ。クルジェ・テール。クルジェって呼んでくれていいよ」
 「クルジェか。よろしく」
 何がよろしくかよくわからない。
 「えっと、おねーさんは?」
 金髪の美女はファントムの問にかなり驚いたらしく飛び跳ねた。
 「わ、私の名前はクレアです。よ、よろしくです。はい」
 こんな自己紹介が終わったのを待っていたかのように部屋の奥から一人の老人が現れた。老人の格好は典型的な魔法使いの格好をしていた。そして、老人は口を開いた。
 「ようやく来たか、異空間の戦士たちよ」
 間髪いれずにクルジェが文句を言う。
 「どうゆうことですか?」
 「どうもこうもお主達は扉を通ってきたのだろう?」
 「この二人はどうだか知りませんけど、私は追いかけられてやむを得ず入ったのよ。もとの場所に返してください」
 クルジェはすごい勢いで老人に意義を唱えた。しかし老人は、
 「すまないが、わしにはできないのぉ。主たちを連れてくるのに精一杯だからのぉ」
 これをきいたクルジェは愕然とした。そんなクルジェをよそに老人は話を続ける。
 「お主達を連れてきたのは、この世界をひいては主たち世界を救ってほしいからじゃ」
 老人はこの物語の冒頭での話をここにいる三人に話した。話した後、本題に入った。話によるとこの世界……つまり、観測の世界を文明レベルの低いうちに征服しのちに残りの光・元・闇の世界を征服しようとする者が現れたらしい。その三大頭の名前が『イヴァン』『ジェノヴァ』『ディドロ』という三人らしい。彼らは、この世界の三大賢者と呼ばれているそうだ。その三人を光のクレア。元のクルジェ。闇のファントムの三人で討伐してほしいそうだ。三賢者に勝てる者は観測の世界にはいないので異世界から連れてきたそうだ。クルジェは「だったら、破壊の闇から三人連れてくればいいじゃない」と口を挟んだが、お決まりの預言書が三空間からの戦士を連れてこいと書いてあったらしい。
 さて、賢者の討伐方法だがこの世界のどこかにある、『アクバル』『クロム』『アルマダ』という宝玉を手に入れ『創造の杖』『強化の杖』『破壊剣』とシンクロさせると『時空を突き破る強大な力』を手に入れることが出来るそうだ。

 「つまり、主達が元の世界に帰るには宝玉を集めて力を解放せねばならんのぉ」
 老人がこういうと、クルジェの顔から血の気がさっとひいていくのが一目でわかった。
 「私たちは宝玉を集めなきゃだめってこと?」
 「ふぉふぉふぉ、物分りがよい娘っ子じゃのう」
 老人は長く生やしたひげを撫でながら言った。
 「そこの二人はどうするんじゃ? 行くのか?行かぬのか?」
 「面白そうだな。その話乗ったぜ、じじぃ」
 ファントムは嬉しそうにでも顔には出さずに言った。
 「わ、私は死んでもいいので…… や、やります」
 クレアはおどおどしながら答えた。
 「帰るためなら仕方がない。私もいくわ」
 クルジェはため息混じりに答えた。
 「ふぉふぉふぉ。ならばついてくるがよい。主たちに武器を与えよう」
 そう言うと老人は奥の部屋に消えていった。三人はそれを見失わないように追いかけた。
 数分歩いた後に老人が立ち止まっているのが見えた。
 そこは、洞窟の祠のようになっており、部屋の奥には黄金に輝く泉があった。
 「一人ずつ手を入れるがよい。手を引き上げれば持ち主の力に合わせた武器が出てくる」
 「じゃあ、俺から行かせてもらうぜ」
 ファントムはそう言うと泉に手を入れた。
 「おい、じじい! 手に何の感触も無いぞ!」
 「せっかちじゃのう。泉が主を見定めておる」
 そう言われたファントムは静かになった。と思ったら
 「来た来た。……なんだこれ?」
 ファントムが手に持っていたのは、ぼろぼろに刃こぼれしていてしかも、左に緩く曲がっている刀だった。
 「おい!クソじじぃ! どうなってやがる!」
 「この泉は手を入れたものの戦闘意欲、強さに見合った武器をだす。主の場合、戦闘意欲はあるが、弱い。だから、その剣なんじゃよ。まぁ腐っても破壊剣じゃ、主が強くなれば比例して剣も強力になるじゃろう」
 老人がそんなことを言ってる横でクルジェがお腹を抱えて大笑いしていた。ファントムは、老人に文句を言うのを忘れてクルジェに「五月蝿い」と叫んでいた。クルジェはファントムをよそに「さて私の武器は何かしら?」なんていいながら手を泉に突っ込んだ。
 クルジェの武器はすぐに出てきた。クルジェが手にしっかり握っていたのはかろうじて杖の形をなしている木の棒だった。クルジェは、唖然としていた。老人が「主は戦闘意欲はないわ、弱いわじゃそれが妥当じゃな」なんて言われているのにそんなのもよそに唖然としていた。ファントムはここぞとばかりに大笑いしていた。クルジェは正気を取り戻してファントムに「五月蝿い」と怒鳴っていた。
 さて注目のクレアが泉に手を入れて引き上げたのは杖だった。柄は銀色で頭には透き通った透明の水晶が付いていた。老人いわく「戦闘意欲も能力も高い娘っ子じゃな」と言っていた。クルジェはクレアの杖をうらめしそうに見ていた。クレアはクルジェを見て申し訳なさそうな顔をしていた。一方、ファントムの笑いはさらにヒートアップしていた。
 「さて、主たちには旅立ってもらうかのぉ。ここに食料や旅の必需品を入れてある。出したいときは天にかざせば、望みのものがでてくるじゃろう。中に入れることも可能じゃ」 
 老人はそういうとまだ息の荒いファントムに真珠ぐらいの大きさの黒光りする玉の付いたペンダントを渡した。
 「それと、ファントムとやらその格好はさすがにまずいのぉ。娘っ子二人はいいんじゃが。よし、特別にわしの魔法で服を作ってやろう」
 そういうと、老人は杖を振り回した。次の瞬間ファントムの服装が変わった。上は、黒色のタートルネックの長袖。下は皮っぽい黒の生地の長ズボン。それに加えて皮のロングコートを着ていた。コートも無論黒色だった。何の冗談かわからないが、首にはペンダントとバイク用のゴーグルがぶら下がっていた。
「じじい。この服は砂漠に出たら死んでしまうぞ」
そんな、ファントムの問に、
「魔法がかかっとる、着ていれば暑くも寒くもない。娘っ子たちは魔法がかかっているようじゃしのぉ。じゃ、行ってこい。伝説の戦士たちよ」
 老人がそういうとファントムたちの目の前が真っ暗になった。
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