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2009-08-15

新説維新戦争第02話(アオザキ・サーガ第二章)

 新説戊辰戦争第02話

 後に語られる戊辰戦争。その初戦は鳥羽・伏見の戦いである。
 新政府軍5000人に対して、幕府軍は15000人。およそ三倍の戦力差があった。
 だが、戦場が街道であった為に、縦隊戦術しかとれずにいた。
 加えて、新政府軍の鉄砲部隊と対魔組織『暁』より派遣された術者の力が幕府軍の突貫を防いでいた。
 しかし、そこに突如現れたのは、幕府軍がフランスより招いたシャルル・シャノワール率いる魔法部隊の一人であるジェイス・ホミサイド・ノーブルという青年だった。
 金色の右目を持つ彼の魔法は、最前線で戦っていた『暁』の術者である紅崎喜重郎を容易く倒す程強力であった。
 だが、もう一人の金色の右目を持つ男、『暁』の五代目筆頭である蒼崎十蔵は、ジェイスを容易く倒してしまった。
 戦局は局地的に混乱。破れかぶれになった幕府軍は十蔵に向かって束になって襲ってきた。
 「……まだやるの? しゃーねーなぁ。付き合ってあげるよ」
 十蔵は嘆息気味に、笑いながら答えた。

 「むりむりむりむりっ!!」
 十蔵はあっさり十数人に取り囲まれてしまった。
 次々に飛びかかってくる兵士を急作りの刀で、バッタバッタと切り倒していたが、表情に余裕がない。
 苦笑しているようにも見えるが、割と必死だ。
 「傍観禁止っ! 鉄砲隊は任意で発砲してぇ!!」
 泣き声に近い十蔵の叫びに、呆然と事の成り行きを見ていた兵士たちは思い出したように発砲を開始した。
 ようやく飛びだした弾丸に幕府の兵士たちは次々倒れて行った。
 「よかった。助かった。僕、撤退!!」
 そう言って、十蔵が踵を返そうとしたした瞬間!
 鋭い切っ先が、殺気乗せて十蔵に襲いかかってきた。
 「!?」
 間一髪といったところで、十蔵は攻撃を受け止めていた。
 「勘弁してくれよ、僕はこれ以上ヤル気はないよ?」
 十蔵を攻撃した相手は、彼の言葉にイラついたように怒鳴った。
 「俺は新撰組副長、土方歳三。今、貴様を殺さねば、幕府に災いになる!」
 この時代には珍しく、十蔵同様に洋服を着ている男―土方歳三はそう言った。
 「…マジで勘弁してくれ。鬼の副長かよっ…と」
 十蔵は歳三の刀を振り払った。
 弾丸が飛び交う中、刀を構えた二人は睨みあったままだ。
 「……先ほどの面妖な術は使わないのか?」
 口を開いたのは歳三だった。
 「あいにく、僕たち『暁』の経営理念はアヤカシと術者以外に術を使う気はないんだよ」
 「そうか…… だったら、その理念を抱いて死ねっ!!」
 言って、歳三の猛攻が十蔵を襲った。
 閃、閃、閃ッ!!
 どれもこれもが致命傷になりえる一撃。それを十蔵はギリギリの所で受け流していく!
 「あー、もー、僕はこれ以上はヤル気はないんだって!!」
 「あぁ、そうかいっ!!」
 「ッ!」
 十蔵は歳三の攻撃を乱暴に払いのけ、その隙に刀の形を変えた!
 日本刀の計算された刀身の反りを残したまま、峰の形を変形させた。
 ギザギザとした峰は、生き物の背骨の凹凸を彷彿させる。それは形だけではなく、残虐なイメージを付加させた代物……
 「このっ!!」
 歳三の刀が十蔵を急襲した!が、十蔵は刀を返して峰で受け止めた!
 「ソード…… ブレイクッ!!」
 グンッと腕を回した十蔵。彼の刀は歳三から刀を手放させるには充分だった。
 「どうだっ! これで解ったでしょう。今は引いてくれないか?」
 突然の事で呆然としていた歳三に語りかける十蔵。
 「………西洋と戦うには、もはや刀の時代が終わったか」
 ポツリと歳三が言葉を漏らした。
 「?」
 バァン!!
 刹那、一発の銃声が戦場に響いた。だが、戦場に溢れる銃声と断末魔にまぎれていて気づけない。それは十蔵も同じだった。
 だから、十蔵は自分が撃たれた事に気づけずに、そのまま後ろへと倒れてしまった。
 「土方っ! 引くぞ!!」
 遠くから誰かの声が聞こえた。それは幕府軍の敗走を意味していた。
 「……まぁいい。それじゃあな、バケモノ」
 歳三は倒れた十蔵に吐き捨てると、懐に拳銃をしまい込み、刀を拾って背を向け走りだした。

 幕府軍への追走を始める新政府軍。
 その傍らで、戦死者や負傷者の回収作業も始まっていた。
 街道のど真ん中で、大の字になり虚空を見つめるのは十蔵だった。
 「頭領! 頭領、しっかりしてくださいっ!!」
 そんな彼を必死になって呼び掛けるのは喜重郎だった。
 「……あー、びっくりした」
 喜重郎の声に気がついたのか、十蔵の虚空を見つめる瞳に光が戻ってきた。
 「頭領!! 気がついたんですね!!」
 「あぁ…… よっとっ!」
 喜重郎の声に答えた十蔵はネックスプリングで跳ね起きた。
 「ぐえっ!?」
 しかし、失敗して背中を強打した。
 「…あ、あの、と、頭領?」
 あまりにも不甲斐ない十蔵の姿に喜重郎は困惑した。
 「……すんげぇ、痛い。悪い、起こしてくれ」
 
 喜重郎に起こしてもらった十蔵は、う~んと大きく伸びをした。
 「ありがとな。ところで、君は?」
 「えっ? あ、私は紅崎喜重郎と申します!」
 そう言って彼は跪いた。
 「いや、そんなかしこまらなくてもいいよ」
 「で、ですが……」
 困惑する喜重郎に苦笑いの十蔵は言葉をつづけた。
 「それに本当に僕が暁の筆頭かも定かじゃないだろ?」
 「!?」

 ……対魔組織『暁』。その組織としての特性上、およそ大衆に知られている組織ではない。
 その上、頭領…筆頭と呼ばれる人間の存在はあるものの、その姿を知っているのは極一部の者に限られている。
 
 「……私は信じます。あなたが暁の筆頭である事を」
 こんな謎だらけの組織の、しかも人前に現れた事のない筆頭の存在を、喜重郎は信じたのだ。
 「その根拠は?」
 「はっ! 私が無残に敗北した相手を容易く撃退した能力、技能などが全てを語っております」
 「……もしかしたら、僕がただの稼ぎ頭なだけかもしれないよ?」
 「いえ! 信じるに値する根拠がもう一つあります」
 「それは?」
 「はっ! 私ども下っ端に実しやかに囁かれている噂…… 頭領は未来が見えているのではないか、と」
 そう言って、喜重郎は「失礼します」と言い、十蔵の撃たれたハズの左胸に手を入れた。
 「そしてこれが、証拠です。このように薄く軽い鉄板を作り、あまつさえ左胸にのみ入れておられたのは、もはや未来を知っていたとしか」
 「……なるほど。充分だよ。紅崎くんと言ったね」
 「はっ! 名前を覚えていただき光栄です!」
 「うん、いちいちウザイから、そんな風にしなくていいよ」
 「はっ!!」
 「……鉄板のギャグだとでも思っておこう」
 「?」
 「気にしないで。それよりも話がある」

 ここは新政府軍の作戦司令部といったところだ。
 その中にいるのは、十蔵、喜重郎に加えて、痩身の男とその男を護衛する二人の兵士の五人だった。
 「うむ、ご苦労だった。さすがは暁の面々だ。幕府軍はすごすごと引っ込んでいったわ」
 痩身の男――椎原小弥太は機嫌よく言った。
 「ありがとうございます。椎原殿」
 それに答えたのは、喜重郎だった。その傍らで十蔵は突っ立ったままであった。
 「ふむ…… 紅崎殿。そっちの者は?」
 椎原の視線の先にいたのは十蔵だった。
 「はい。この者は……」
 「僕は、喜重郎の弟で紅崎十兵衛といいます!」
 「ほぉ… はて、先ほどは居なかったような…」
 疑問を浮かべる椎原に答えたのは喜重郎だった。
 「はい。実は… じゅ、十兵衛が勝手についてきてしまいまして…… 元服したばかりで、まだまだ私に甘えてしまって。仕方なしに我が隊の一員に加えたのです」
 「なるほど。十兵衛と言ったな?」
 「はいっ!」
 「あまり、兄に迷惑をかけるではないぞ?」
 「はいっ!!」
 十蔵は、元気よく返事をした。
 「ところで、椎原様。一つ聞きたい事があるんですけど、いいですか?」
 「こ、コラ! じゅ、十兵衛! 失礼だぞ!!」
 ぎこちない喜重郎の怒り。だが、十蔵は気にした風はなくニコニコとしていた。
 「かまわんよ。それで、私に聞きたいこととは?」
 特に気分を害した様子もなく椎原は十蔵に訪ねていた。
 「あの…… 暁から兄さんに命令したのは誰なんでしょう?」
 「十兵衛、そんな事を聞いてどうする?」
 「兄さん。兄さんは人が良すぎるから、出世できないんだよ! 事務的に命令されてさ。四老会の誰かに命令されたかわかんないじゃん!」
 対魔組織『暁』は、トップに蒼崎家の者が『お飾り』で存在し、その下に『四老会』と呼ばれる術に長けた四人の術者がいる。
 事実上の経営は四老会によって行われている。そして、その決定が伝令によって『暁』の決定として構成員に伝えられるのだ。
 「いい、兄さん。四老会と言えど、誰かが反対して、誰かが賛成してるんだ。賛成している人に取りいって出世しないとダメだよ!!」
 ズビシッ!と指さす十蔵の姿に、笑いをこらえられなかったのは椎原だった。
 「あっはっは! いやぁ、面白いものを見せてもらったよ。しかし、すまないね。今回の決定が、やっぱり『暁』の決定として伝えられただけなんだよ。力になれなくてすまない」
 「そう… ですか。すみません、ありがとうございました」
 十蔵はそう言って、頭を下げて喜重郎の後ろに戻った。その一瞬だが、冷たい目が椎原を捉えた。が、椎原は一瞬の出来事に気づけずにいた。
 
 つづく
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2009-08-14

新説戊辰戦争第01話(アオザキ・サーガ第二章)

 新説戊辰戦争 第01話

 慶応三年、徳川慶喜が政権を朝廷に返上した。これは倒幕派から大義名分を奪う為の行為であった。
 慶喜は政権を朝廷に返上した後、政治能力のない朝廷の代わりに政権を握ろうとしたのである。表向きには朝廷主導に見えるが、実権は徳川で保持し続けようという目論見である。
 だが、倒幕派はそれを許さなかった。慶喜の甘い考えなどお見通しという事だ。彼らは幼き天皇である後の明治天皇を担ぎあげ、幕府の残党討伐に乗り出した。
 佐幕派も倒幕派も共に天皇を担ぎあげての戦争。『勝てば官軍、負ければ賊軍』というわけだ。
 かねてよりフランスと友好関係を築いてきた幕府側は、フランス政府から『魔法使い』の部隊を借り受けていた。
 倒幕派といえば、イギリスとの関係を持っており、多数の武器などを手に入れ量産していた。それだけではない。アヤカシという人外の化物や、西洋で言うところの魔術を使う悪党と戦う対魔組織『暁』と契約を結び、フランスからの魔術部隊に対抗しようとした。
 実力は伯仲、のように見えたが、やはり幕府の兵力は倒幕派の比ではなく多い。
 この状況を打開したのは、一人の男だった。

 慶応四年一月三日夕刻。
 下鳥羽で発砲された一発の銃弾が、鳥羽・伏見の戦いの開戦の合図であった。
 倒幕派5000人と幕府15000人という絶望的に見える差。
 だが、場所が悪かった… 街道という狭い空間は、幕府の15000人という人数的優位を生かしきれず縦隊突破は、倒幕派による鉄砲弾幕により阻まれた。
 
 「なんたるザマ! なんたるザマだっ!! 三倍もある戦力差が全くと言っていい程に生かし切れていない!!」
 声を発したのは、青年だった。だが、それは普通の人間とは違っていた。
 若くしての白髪、肌は白く、彼の顔は日本人のそれとは違っていた。言うなれば美しい。だが、病的な美しさ。狂気に触れたような美しさだ。
 「情けない。情けないっ!! シャルル隊長の教えが全く生かされていない!!」
 芝居かかった口調で話す青年。だが、それは日本語ではなくフランス語だ。もっとも、合戦の声にまぎれて誰も聞いてはいなかった。当然だ。彼は今、空を飛んでいるのだから。
 「シャルル・シャノワール隊長! 私です。ジェイス・ホミサイド・ノーブルです。出撃許可を戴きたい!」
 彼は虚空に向かって話しかける。
 ≪よかろう。我々、フランス軍の力を東の黄色い猿どもに見せてやれっ!≫
 「Je le comprenais.」
 ニヤリと犬歯を見せて彼は嗤う。その青と金の瞳は爛々と輝いていた。

 「右翼、弾幕薄いよっ! なにやってんのっ!!」
 倒幕派最前線でどこぞの艦長のような事を言っているのは、美青年だった。中性的な顔つきに華奢な身体で、まるで女のようだった。
 彼は早乙女桜華――本名、紅崎喜重郎。日本舞踊で女形として有名な歌舞伎俳優だ。
 その流麗な舞は多くの民衆の心をわしづかみにしている。だが、その実態は対魔組織『暁』に所属する術者(=魔法使い)だ。
 暁より派遣された彼は今、最前線で少数の術者と鉄砲部隊を率いて幕府派の進行を食い止めていた。
 「ガンガン撃ちこめっ!!」
 彼の怒号に合わせて鉄砲部隊は銃弾を次々と撃ちこんでいく。
 「風よ――――――」
 喜重郎は発砲音の嵐の中、呪文詠唱を始めた。それは風を呼ぶ術。強烈な追い風っ!
 風は弾丸の速度と威力を増して、次々に幕府側の兵士に打ち込んでいく!
 「ぎゃっ!?」
 だが、幕府側の反撃も凄まじく、今、仲間の一人が撃たれた。 だが、喜重郎の追い風が幕府の弾丸の威力を弱め、被弾した兵士も重傷を負わずに済んだ。だが、やはり弾丸だ、被弾した兵士はすぐに後退した。
 「術者1、術者2! 土嚢を高く強化しろっ!!」
 名前も与えられないモブキャラの術者は喜重郎の怒号に応じて、土嚢を高く硬くするような呪文を唱え始めた。
 だが、刹那の爆音。それは土嚢も兵士も術者も吹き飛ばすほどの威力。
 「ぐぅうう!?」
 それに反応出来たのは喜重郎ただ一人であった。
 彼は咄嗟に竜巻の術を使い、自身を中心に風を起こして爆風などをいなした。
 「な、なんてことだ……」
 砂塵、爆風が収まり、竜巻が消えた今、喜重郎の眼前に広がるのは死屍累々の仲間たちの姿であった。
 「ハッハー!!」

 「ハッハー!!」
 ジェイスは自身が放った爆発魔法でゴミのように死んでいく倒幕派の兵士の姿を見て下品に笑った。その中に巻き込まれた幕府派の兵士がいるのも関わらずだ。
 「あン? ンだよ、まだ生きてやがる」
 彼の目のとまったのは、男とも女とも見えない日本人―――喜重郎だった。
 喜重郎はジェイスに気づき、鋭い視線をジェイスを睨みつけた。
 「あぁン? ジャポネが見てんじゃねぇよ!」
 言って、ジェイスは手で鉄砲の形を作ると喜重郎に向かって撃った。
 刹那、爆音! 先ほどと同じ規模の爆発が喜重郎を襲った。
 だが!
 「あぁ!? なんで生きて…… ちっ」
 言いかけたジェイスは喜重郎がもっている扇子に気づいた。
 「ジャポネの分際で、魔術刻印を使ってやがるのか」
 魔術刻印――魔法や術というものは呪文を唱えて発動させるのが原則。だが、身体の一部にルールに則った紋章や文字を刻むことにより、それに魔力を流し込むだけで魔法を発動させる事が出来るのだ。
 「……道具に刻印。はっ! さすがジャポネ。黄色い猿はモノマネが上手いなっ! 道具に刻印とは恐れ入ったぜっ!」
 魔術刻印は西洋では自身の身体に刻む。魔力伝導が上手く行かないからだ。だが、喜重郎は扇子に魔術刻印を刻んでいる。それは西洋ではありえない技術だった。
 「ハッハー! 気に入ったぜ! 俺が相手をしてやるぜっ!!」
 ジェイスはふわりと地面に降り立った。

 「あの男…… ふらんすからやってきた術者軍人か!? おのれ、仲間まで巻き込みよって!!」
 怒りに震え、おもわずジェイスを睨みつけた喜重郎。
 その視線に気づいたジェイスは再び爆発魔法を喜重郎に叩きこんできた。
 だが、扇子で起こした竜巻が喜重郎の身体を守った。
 「むっ! 無詠唱!」
 驚愕する喜重郎の前にジェイスが降り立った。
 ≪テメェ、魔術始祖直系の俺の魔法を止めるとは…… 直々に殺してやるぜぇ!≫
 喜重郎には解らない言葉でジェイスが話しかけてくる。言葉は解らないが、左右の色が違うジェイスの瞳が爛々と輝いていた。死にたくなるほどの殺意を乗せて。
 「来るかっ!!」
 喜重郎は両手に扇子を持ち、構える。
 「先手必勝っ!!」
 喜重郎が振った扇子から放たれるのは、横に走る二本の竜巻っ!
 ≪はっ! 相殺してやる!!≫
 先ほどは右手。今度は左手から放たれたのは、喜重郎同様の竜巻。だが、規模は段違いだった。
 ジェイスの竜巻は喜重郎の竜巻をあっさりと呑み込むと、そのまま喜重郎もろとも倒幕派の兵士を巻き込んだ。
 「うわああああああああ!?」
 ≪ハッハー! 所詮はサルまねだな、おい!≫
 ゲラゲラと下品な笑いを浮かべるジェイス。
 ≪お前ら如き猿が、革命軍頭目の血を引く俺の相手になるわけが――――≫
 パチンッ!
 何処からか、指を鳴らす音が聞こえた。そして、次の瞬間。
 ≪なっ!?≫
 局地的大爆発。ジェイスだけを狙った超局地的爆発が起こった。
 だが、間一髪でジェイスは爆発から難を逃れていた。
 ≪なんだっ!!≫
 「外したか……」
 戦い呆然と眺めている倒幕派の兵士達の中から一人の男が現れた。
 漆黒のざんぱら髪で、何処にでもいそうな青年。唯一最大の特徴と言えば、その左目に輝く金色の左目。
 ≪おまえは…… まさかっ!≫
 「悪い、寝坊した。戦況は…… 芳しくないね」
 マイペースなこの男、名前を……
 ≪アオザキ……≫
 「ん? ガイジンさん? 僕の名前しってるの? えーマジで? えー、いや、えー、そんな、照れるよ。困るって」
 照れ照れ。
 「そのとーり! 何をかくそう、僕が対魔組織『暁』の五代目筆頭、蒼崎十蔵だっ!!」
 ブイッとピース。果たして、この時代の日本にピースサインがあったかは定かではないが……
 ≪キサマ… キサマは…… は、ははは、ハッハー!! まさかと思って、このクソ見たいな国に来て正解だったっ! キサマはアリスの子孫ッ! 殺してやるっ!≫
 ジェイスの瞳の輝きは狂気を孕んでますます増していく!!
 「敵さんはヤル気だねッ!」
 ジェイスの放った爆発。だが、それは十蔵には届かなかった。ちょうど中間地点で十蔵が放った爆発とかちあい爆発。
 十蔵はジェイスが第二派を放つ前に、指をパチンっ!
 ≪がぁぁぁ!?≫
 「どーだ? どこぞの大佐みたいだろ? 蒼崎家一子相伝の啓示だ! ま、―――」
 地面にひれ伏すジェイスに上に空気の塊―――いや、これは重力、重力が増して空気が鉛のように重くのしかかる。
 「――――指を鳴らす必要はないんだけどねぇ」
 にこにこ。
 ≪こ、この…… な、め、る、な、よ! クソッタレがぁ!!!≫
 ジェイスはかなり無理やりだが、十蔵の重力魔法を打ち消し、そして立ちあがった。
 「まだ立つの? タフだねぇ。面倒だから吹き飛びな」
 立ちあがったジェイスの真下、そこから吹き上げるのは暴風! あっけなく、ジェイスは吹き飛ばされてしまった。
 「いぇい!」
 振り返り仲間の兵士に向かってサムズアップする十蔵。
 「敵はたった一人だっ! ひるむな、突貫っ!!」
 その背中に襲いかかってくる幕府派の兵士たち!
 「……まだやるの? しゃーねーなぁ。付き合ってあげるよ」
 十蔵は土から作りだした日本刀を構え、たった一人で幕府派に向かって突撃した。

 つづく
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